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3] タクシー・フォー・オール(Taxi for All)プロジェクト

a. プロジェクトの概要

タクシー・フォー・オール(誰でも乗れるタクシー)が意図するシステムは、STS有資格者、車いす使用者をはじめ、より多くの多様な利用者を想定したアクセシブルなタクシーである。STSとタクシーが統合したようなシステムを目標に開発が進められている。実用化の段階では、オムニノバ社がこのプロジェクトのために開発した車両である「タクシーライダー」(後半の写真参照)もしくはフォルクスワーゲンのカラベルが使用される予定である。

このシステムもフレックス・ルートと同じく、EUレベル(トランスポート・プログラムDG VIIによる)でプロジェクトとして、1998年2月から2000年3月までの開発期間が設けられ、取り組まれている。スウェーデンと英国の2ヶ国が共同で取り組んでいる。交通手段としての明確なコンセプトを持つこと、アクセシブルな車両とすること、ITシステムを活用すること、他のアクセシブルな公共交通機関との乗り継ぎなどの連携を図ることが主たる課題とされている。

スウェーデン国内の具体的事例では、ストックホルム県がモデル事業を実施する準備を進めており、タクシー業界と県のSTS委員会が取り組みを開始している。パイロット的な事業として試行を行いデータが収集される予定である。なお、ここでの記述は2000年9月の調査時点のものである。

 

b. プロジェクトのコンセプトと狙い

タクシー・フォー・オールのプロジェクトとしてのコンセプトは以下のように整理することができる(表5-4-4-8)。

 

表5-4-4-8 タクシー・フォー・オールのコンセプトのまとめ

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このプロジェクトには英国も参加していることを前述したように、プロジェクトを進める体制は、次のようなメンバーによるコンソーシアムで進められている。

まず、英国のクランフィールド大学がプロジェクト全体の座長として参加し、車体開発にフォルクスワーゲンUKおよびLTI社が加わっている。スウェーデンでは、交通計画全般にルンド大学が関与し、オムニノバTWR社がルノーのベース車両を用いて、車両開発に加わり、政府レベルのサポートとして国家道路局が関係している。フレックス・ルートの単元でも述べた通り、こうした体制が、新たな交通サービスコンセプトの企画・立案、調査、技術開発、デモンストレーション、評価、社会への新システムの導入というフローを実現させている。

 

 

 

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