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(4) STSの新たな方向性

1] イェーテボリ市のフレックス・ルート(Flexlinjen: Flex Routes)

a. イェーテボリ市の概要

イェーテボリ市はスウェーデン第2の都市で、人口はおよそ50万人である。近年は公共交通の刷新という点で評価を得ている都市でもある。およそ200両のトラムと200台のバスがKOMFRAMというリアルタイム情報システムにより管理され、インターネットから容易に移動状況にアクセスできるシステムはその代表例である。

 

b. 運行開始の経緯

i) イェーテボリ市のプロジェクト

スウェーデンでは、送迎サービスは社会のコストとして賄うという認識があるが、送迎サービスにかかるコストを下げる方向は他の事業と何ら変わらない。イェーテボリ市でも、従来実施されてきたSTSにかかるコストの低減やサービス水準の向上を模索している。運行コストを低減し、かつ利用者の利便性を損なわないサービスが求められている。

ここで述べるイェーテボリ市のフレックス・ルートは、1996年10月より社会実験を経て導入された交通システムで、欧州連合(EU)とスウェーデン政府のプロジェクト支援(KFB[別掲]からの資金)を受けて、STSの新たな方向性を探るプロジェクトとして取り組まれた最初の事例である。

 

図5-4-4-1 既存のシステムと比較したフレックス・ルートの位置付け

157-1.gif

LogistikCentrum社資料をもとに作成

 

「フレックス・ルート」は、イェーテボリ市において開始された、フレキシブルなサービス・ルートの呼称である。通常のSTSとは別に運行されている。スペシャル・トランスポートの、より効率的な運行方法を検討するために社会実験を経て導入され、個別交通のきめこまかな利便性(しかし高コスト)とバス車両による効率性(しかしドア・ツー・ドア性が低い)を組み合わせたサービスとして位置づけられる。

 

 

 

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