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1983年から1994年までは運賃が無料だったため、利用者は増加しつづけた。1994年に委託先がラインバス社に変わり、運賃を有料化したところ乗客が減り始めた。運賃設定は公共交通と同じ16Skrである。一方、STSのタクシーサービスは、20Skrプラス距離に応じた運賃徴収を行っていた。1995年ラインバス社が再びサービスを落札した時に、およそ3,000名の高齢者にアンケートを兼ねた電話によるインフォメーションサービスを導入したため、同年から1998年にかけて利用者数は徐々に増加し始めた。現在は1998年の水準から大きな変化はない。

利用実績は、10路線で年間で40万件で、STS有資格者の24%がサービスルートを利用している。ちなみに、開業当初はSTS有資格者のうち55%程度が利用していた。

コストのうち24%は運賃収入でカバーしている(10路線の平均)。それ以外はコミューンの負担である。そのうち2路線は、収益率8%程度と運営が厳しい状況にある。年齢の人口構成が変わったことが要因と考えられる。なお、サービスルートのスウェーデン国内での実施の状況等は、松尾、小池、中村、青木『交通と福祉−欧米諸国の経験から−』(1996年)第2章に詳しい。

 

c. 今後の計画

2002年を目途にした将来計画では、ニューサービスルートともいえるローカルライン(Lokallinjer)10路線の設置が検討されている。これは、現在のサービスルート路線を拡充する方向で、一般の人も乗車できるシステムが検討されている。また、既存の幹線のバス路線にはローフロア車を導入し利用者層を拡大する予定である。

人口の少ない地域には、15〜30分間隔でフレックスルートを導入する予定である。ルート延長は最長で15km程度の計画が検討されている。

こうしたサービスのミックスにより、スペシャルなサービスのみで高齢者や障害者の需要に応えるよりも、運行コスト自体は下がると考えられている。様々な新規サービスの実施当初は150万Skr程度の負担が予想されているが、3年間で22%利用者が増加する見込みなので、結果的にコスト増にはならないと考えられている。

さらにフレックスルートの発展段階として、業績がよくなければ路線変更等によるサービス改善を行うなど、より柔軟な方法でサービスに取り組む姿勢を明らかにしている。ベーシックルート(trunk line)は変更せずに支線を柔軟に変更してサービスなどが具体的な案である。

さらに、STSの空き車両を利用して、ナイトバスを運行したり、早朝の時間帯は通勤用にカンパニーバスを運行することも検討されている。ナイトバスは、木、金、土の週末に遊ぶ若者達のためのバスで12時から4時までの運行を予定している。

環境対策ではコンポストからのガスを利用するバイオガスバスの導入、ペニンシュラ型(道路に張り出した形状のバス停)のバス停の設置などが計画されている。

 

 

 

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