日本財団 図書館


運行回数が減少した要因は、まず許可数を絞り込んだこと、利用回数の上限を制限したことによる政策的なもの、さらにローフロアバスやフレックスラインなど公共交通の拡充が考えられる。

コストの点では、1990年から1998年にかけて、相乗りタクシーのコストは最終的に45%減少した。これは、主としてPLANET (コンピューターによる計画配車システム、図5-4-3-7)を利用したDRT (Demand Responsive Transport)の実施に伴うものである。運行コストが実質的に削減されてきた事実は最も重要な点である。PLANETは相乗りタクシーの予約、計画、配車システムとして1992年に導入された。このシステムは1日5,000件の予約を処理し、通常、日中の最も忙しい時間帯は20〜30名のTDCオペレーターが電話の対応を行っている。しかし、コンピューター化によって予約、計画、配車のコストが削減された反面、1998年7月の契約更新時のタクシー会社からの入札では、25%増の価格が提示された。トータルコストとしては削減が難しい側面もあるのは事実である。

 

図5-4-3-7 配車システムの概略

153-1.gif

 

PLANETにより予約されたトリップは、現状では1トリップあたり約100Skrかかっている。利用者が25%を負担し、残りは行政の補助によることになる。結果的に自治体が負担する額は年間で1億2千万Skr (およそ15.6億円:1Skr13円換算)、有資格利用者一人当たりのコストでは4,500Skr (およそ58,500円)である。

 

e. 課題

1999年の中頃に、利用者の減少が見られた。要因としては、これまで25Skrだった運賃を通院に限り60Skrに値上げしたためと考えられる。この運賃改定は、新たな行政組織である西部イェータランドレギオン誕生の際の制度改革の一部である。一方で、買物等は25Skrに据え置かれたため、「病院の横の薬局に行く」と言って通院する利用者も出現している。この料金の格差は問題があるので解決する方向で検討されている。

帰路の予約は病院の診察が終わった段階で予約しなければならず、病院から電話をして待つので、利用者からの評判が良くない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION