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イェーテボリ市のSTSは、このように行政単位の変更の影響を受けて、2000年4月より組織変更を行った。大きな変更点は、交通は市ではなくレギオン(Region)が管轄することになった点である。スウェーデンでは交通に責任を持つのは地方自治体であり、県が主体となり市と協力してサービスを提供することになっている。「コミューンはレーン内の地方的および地域的な公共交通に対する責任をランスティングと共有している」(アグネ・グスタフソン、岡沢・穴見訳『スウェーデンの地方自治』2000年)。また、「1978年になされた国会の決定によれば、広域および地方公共交通機関(バス、路面電車、地下鉄)についての責任主体が、各レーンに存在しなければならない。ランスティングおよびレーン内の諸コミューンは、このような交通機関に責任を負う機関(通常はレーン交通社)を設置してきた」(同)とあるように、地域の交通はレーンとコミューンの協力によって提供されてきた。今後はレーン全体の中のイェーテボリ市として交通サービスに関与することになる。

 

図5-4-3-6 イェーテボリ市STS部門の組織図

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スウェーデンでは、通常の公共交通を利用することができない高齢者・障害者に対して医師の認定のもと、地方自治体が適切なレベルの移動のためのサービスを提供することに責任を負っている。こうした中でイェーテボリ市は歴史的に見て、この法律を比較的広く解釈して、市の人口の約5%を超える人々にSTSの利用資格を与えている。移送サービスの委員会を設置し、STSを担当する部門には100名近い運営スタッフを擁する組織となっている(図5-4-3-6)。

なお図中のTLはTrafik Linen (Traffic Line)の略で、トラブルシューティング(問題解決)の事務局として苦情処理等を行う。「予定の車両が来ない」、「ドライバーの対応が悪い」など、STSに関する苦情を受けつけ、対応する部門である。

 

b. 運賃

運賃は25Skrで、通院に限っては60Skrである。

 

 

 

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