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(3) KFB (スウェーデン交通・通信研究局) (Kommunikations Forsknings Beredningen: Swedish Transport & Communications Research Board)

1] KFBの事業概要

スウェーデン交通・通信研究局(以下KFB)はMOIECの中でも特に産業省が管轄する研究助成機構である。KFBは研究プロジェクトに対してプランニングと資金提供等を行うことが主たる業務で、自ら研究を行なう組織ではない。大学や自治体から年に2回研究助成金の申請を受けて予算配分を行う。1980年代から設置されており、当初はTFBという名称であった。

職員数は30名である。

 

2] 事業内容−プロジェクトの事例−

基幹となる15のプログラムのもとで、およそ300件のプロジェクトが進行している(2000年時点)。

近年は、「輸送サービスは社会が負担する」という新たなテーマのもとでの研究開発が主になっている。具体的には、STSを減らして、公共交通によるサービスを強化していく方向を探るプロジェクトである。こうした方向性は、後期高齢者が増えている状況で、STSにかかるコストの削減と高齢者のベターライフを実現させるものとして今後の交通政策の大きな潮流となっている。

プロジェクトの採択決定は、委員会を構成して行われる。関連する分野の専門家を半数程度加えたKFB内の委員会である。最終的な決定は局長の判断によるが、プロジェクトの決定において、委員会と所長の判断の相違が5%以上になると、理事会にかけて判断を委ねる仕組みが取り入れられている。例えれば、100回のプロジェクト審査において、5回(5%)の相違がある場合は、局長と委員会の意見の食い違いが顕著になってきたと判断され、理事会にかけられることになる。

 

表5-3-3-1 KFBの対象とするテーマ

KFBの

メインテーマ:アクセシビリティの向上、トータルコストの削減、健康の改善、よりよい社会生活

サブテーマ:

・基礎サービスとしての公共交通を位置づける

・統合(インテグレーション)、ノーマライゼーションの推進

・分割責任、新しい法律、政府のサービス、KFBリサーチ・デベロップメント・デモンストレーション・プログラム(RDD)の推進

・ポテンシャル

−50%のコスト削減

−サービスルートによるSTSトリップの65%分担

・技術的解決(フレックスルートなどの新システム提案)

・トラフィック計画システム(Demand Responsive serviceroutes、Rural Area System、Route Deviation)

・利用者のニーズ トランスポートモードの選択要因分析

 

 

 

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