日本財団 図書館


そのため、キーパーソンは、障害者等と接する現場に従事する者、建設業者、建築家などのプロのグループを含めた専門的な組織が必要とされる。

これに従い政府は以下の方向を示した(表5-2-2-2)。

 

表5-2-2-2 アクセシビリティセンターについて

・アクセシビリティ問題に対応する国家的諮問機関として機能する任務をもった、全国アクセシビリティセンターを設立する。同センターは、社会をアクセシブルにするための進歩を加速させ、知識の蓄積、アドバイス活動、開発、そしてこれらを複合することに努力を傾ける。

・今日、障害者オンブズマン事務局が担っている任務に加え、同事務局に全国アクセシビリティセンターの役割が引き継がれる。障害者オンブズマン事務局には、増加した任務に十分に対応し成果を上げるためにも十分な資金を交付するようにする。

 

全国アクセシビリティセンターのほかに、障害者問題について、政府の中心的な専門的監督機関である保健・福祉国家委員会も、福祉施策の点で重要な役割を担うと考えられる。同機関は、国民の市民権の水準および保障に関連して、医療、健康、福祉の面での監督権限を持っている。政策の策定、評価、知識移転、教育、トレーニング、統計データの整理等を行っている。

 

3] 地域レベルの施策

a. 地域障害者委員会

地域レベルの施策は、国のレベルでは十分に対応できない細かい点を補完するものである。

地域障害者委員会(Regional Disability Committees)は、道路局が従来から国内7つの地域に設置してきた委員会で、障害者のための交通の改善について、計画およびその実施方法を検討するものである。委員会の構成は、地方自治体、公共交通事業者、地元の障害者組織が必ず参加することになっており、地域ごとの課題に協力しながら対応できる機関である。

 

b. スペシャル・トランスポート・サービス(STS)法

スペシャル・トランスポート・サービス(以下STS)に関する新法が、スウェーデン国会により1998年1月1日から施行されている。簡単に言えば、STSはこれまでのように福祉の領域で対応するのではなく、公共交通の一部として対応することを明確にしたものである。個人に与えられるSTSの利用資格は、永続的な障害のために通常の公共交通で移動することが「本質的に困難」である人に対して認められるものである。新しい法律では、STSの運営は依然として自治体の責務で行うこととされいている。しかし様々な移動サービス(通学や通院のサービス)やそれらを管轄する部局とのコーディネートの方法を改善していくためにも、実際には地域の公共交通事業体にその責務を引き継いでいくことが奨励されている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION