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政府機関は、社会の全領域にわたり障害者施策を確実に浸透させるために重大な責務を負う、として取り組んでいくことになる。

障害者政策の目的は、障害を持つ人がコミュニティで生活を営む事に完全参加できる社会の実現にある。これは政府の1999年/2000年:79の法案における提案「患者から市民へ−障害者政策のための国家アクションプラン」の主旨である。

すべての人間が同じ価値を持つということは、社会を構築(design)するうえでの基本原理であるとして、すべての人が、社会にとって重要な知識、可能性、経験を所有できることが保障されるべきであり、ゆえに社会とは、こうしたことを踏まえて構築され、それは、すべての人が社会の発展に貢献し、コミュニティ生活への完全な参加を享受することを認めるものであるとしている。

障害を持つ人がその例外ではないことは自明である。障害を持つ人も、他の人々と同じ権利と義務を持つ市民であることが明確にされている。

 

d. 交通に関する方向性

交通に関しては、1970年代半ばから、交通システムを障害者にとってより使いやすいものにするために様々な試みがなされてきた。現在の法律では、公共交通は障害を持つユーザーを考慮に入れて計画および実施されなければならないことになっている。しかし、様々な取り組みの一方で、公共交通の分野では、障害者のニーズに適合した交通システムの整備は十分といえる状況になっていない。

この点について、政府では以下の点を提案している:

・交通システムへのアクセスは、継続して改善が進められ、全ての計画およびインフラ、輸送手段、交通、その他のサービス、およびサービスの調達(委託契約によってサービスを購入すること)において考慮されなければならない。

・アクセシビリティ強化のための取り組みは、2010年までに障害者にとって公共交通をアクセシブルにするという目標に沿ったものとする。このゴールを行動の基礎に位置づけ、公共交通が広範囲なサービスを提供し、多くの利用者に対応するよう優先順位を設け、それに応じて計画が実施されるべきである。

・現在、障害者のために用いられている車両のアクセシビリティ規定は、見直しを行いより有力なものを策定する必要がある。

 

e. 全国アクセシビリティセンター(National Accessibility Center)

全国アクセシビリティセンターは、簡潔に述べれば、バリアフリー整備に関するアドバイザーの役割を担い、ノウハウを提供する機関である。上記の「よりアクセシブルなスウェーデンを目指して」により、その設置が明確にされた。障害者オンブズマン事務局(5-3参照)が既に機能しているため、その事務局に機能を任せてセンターが設置される予定である。

この政策での政府の提案は、障害者の生活に影響を与えうる政府の様々な活動において、政府諸機関の責務を遂行するためには、広範なアクセシビリティに関する知識をもった組織等からの諮問および支援を必要とするという点である。

 

 

 

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