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(2) スウェーデン産業・雇用・交通・通信省(MOIEC: Ministry of Industry, Employment and Communication)

1] 組織の概要

MOIECは1999年6月15日からの新体制である。労働・コミュニケーション(交通・通信・郵便含む)・産業を一括するかたちで統合された。1998年の選挙後の行革で様々な組織改革が行われている。大臣は2人体制で、主大臣は産業大臣が務めている。

交通を統括するのは国であるが、交通事業の実施は県とコミューンが連携して行うことになっている。政策的には、社会的な統合(インテグレーション)、障害者にもやさしい労働環境、まちづくり、ソフト面のバリアフリー、メインストリームへの参加というテーマが重要なものとして位置づけられている。

 

2] 国家レベルの施策

a. 概況

障害者に関する政府の政策は、全体を包括する戦略に重点が置かれている。すなわち、政策の主たる焦点が、広い意味で、アクセス改善可能性をいかに導き出すかにあてられている。県、市、その他の組織等、社会の様々なセクターの横断的な関係が意識されている。同時に政策を通じて、社会のメインストリーム(本流)における障害者の平等な参加を確実にすることも重視されている。とりわけ、市レベル(コミューン)の地方自治体は、地域の障害者組織や関連諸組織と連携関係を築くという点で、重要な役割を持っている。

障害者の問題は、福祉や健康における分野だけではなく、社会のあらゆる領域に関連している事は周知である。従って、障害者に関する政策は、教育、就労、住宅、交通などあらゆる領域において十分に考慮される必要があると認識されている。

アクセシビリティに関しては、国家道路局が中心的な機関であり、公共交通システム全般に関して障害者のニーズを把握し、障害者の社会的統合に関する方法について、公共交通施設を通じてとりまとめを行っている。道路局の第一の目的は、陸上交通を利用する事ができる障害者の数を増やすことである。

障害者政策の領域において、問題を特定し、解決策を提示するために、政府にとって、障害者組織と日常的な協力関係を保持する事が重要である。この点に関しては、国家書記官グループ(the State Secretary Group)が、障害者に関する諸課題を扱う政府諸機関との連絡調整を行っている。また、障害者組織との対話窓口として、時に、連絡調整委員会として機能している。障害者組織は、定期的に政府代表を会合を行っており、政府側からは主として保健・社会総務省、および関連部局の代表が、少なくとも年1回は会合を持っている。

障害者オンブズマン事務局(5-3参照)は、障害者の権利と利益に関連した課題を提起する役割を担っている。また、国連の標準規則が遵守されているか、監督する役割を担う。国連の標準規則においては、障害者に関する課題の調整を確実に行うセーフガードとして、国は国家レベルの調整委員会(national co-ordination committee)もしくは、同等レベルの組織を設置しなければならないとしている。障害者オンブズマン事務局は、この委員会の運営を任される事になる。

 

 

 

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