2] 高齢者・障害者等の団体との協議
利用者層のターゲットを高齢者、障害者、子供連れの家族に絞って対応を進めている。1970年に障害者にやさしい政策を打ち出した。30年前の時点では車いすの人が公共輸送を利用することは不可能であった。障害者団体等の要請を受けてDSBが対策を始めたこと、過去30年間における継続的な、ハンディキャップ協会との協議、政治的な圧力団体等の影響で対応内容は進化してきている。
1980年代は互いの対話を重視し、DSBとDSI (デンマーク障害者協議会)のパネル(意見交換の場)を設置して継続的な協議を行ってきた。現在も車いす、視覚障害、高齢者、アレルギー疾患の代表が参加した、意見交換の場を年4回開催している。常に運輸省やDSBの動きが、DSIに伝わるように努力している。こうした取り組みの経験により、鉄道のアクセシビリティの情報について、広報が大切であるという認識が深まった。高齢者・障害者が理解できるものが必要である。また、新たな計画を作る場合に、ハンディキャップのある人にいかに理解してもらうかを念頭に置く必要がある。
ほかに、運輸省の諮問機関として、議会代表、事業者および消費者の代表が参加した、鉄道協議会(The Railway Council)がある。
3] 割引運賃等
65歳以上の高齢者が増る中で、社会福祉省との連携により交通の運賃を25〜33%下げている。高齢者の証明書を見せると割り引きが受けられるが、週末は利用できない。また、障害者についての配慮等、関連したサービスを表4-4-3-2にまとめた。
・証明書を持った高齢者の付添人は無料。
・ハンディキャップ・サービス利用者は県の証明書を持っている。
・駅でのサービスが今後どのように改善されていくかの計画を示した。
・効率のよいサービスをするため、障害者の対応に専任化した駅員は配置していない。しかし、スウェーデンとの国際列車開通を期に、空港駅には特別に4名のフルタイム介助スタッフが勤務している。
・現在70%程度の列車は車いす使用者でも乗車できるようになっている。
・Sトレインでは車いす使用者がホームの前方で待っていれば、運転士が降りてスロープを出している。(現在、自動スロープがついた新型車両を100両発注している。)
4] 鉄道のバリアフリー
Sトレインは2000年末までに全ての駅にエレベーターとスロープが設置される。駅施設に関しては、「forord」及び「モデルステーションの冊子」(図4-4-3-4a、b)を用意し、DSBの駅の施設を請け負う建設会社に配布して、バリアフリー化の基準を示している。車いす対応トイレ、エレベーター、駐車場スペース、スロープ、出入口幅員、点字ブロックの敷設、階段および手摺の設置、ホーム上のシェルターの構造等が主な内容である。