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ハンディキャップ・サービスの支出は1995年データで、HTの総支出20億3,200万DKK (約3,048億円)のうちの9,100万DKK (約13億6,500万円)である。

 

f. 入札と委託

i) 入札方式の導入

1979年に最初のサービスが開始された時点で、HTは16台の車両と26人のドライバーを擁していた。その後、すでに病院送迎等において実績のある事業者に、契約ベースでサービスの実施が拡大されていった。利用者ニーズに応じたサービスを提供できる事業者を選定していたため、契約は1年間ごとに変わることもあった。

その後入札制度が採り入れられ、これまで5回の入札が実施されている。HTの要求は、いかなる小さな変更であっても、価格交渉によって決定される。

HTが競争入札を導入する以前は、コペンハーゲン内には車両台数10台に満たない無数の小規模事業者が存在していた。価格競争がないために、個々の事業者は、プロ意識に欠け、装備の水準は一貫性がなく、HT向けの事業には積極的ではなかった。しかし、入札をシステム化し、ドライバートレーニングの実施を義務化することにより、よりよいサービスの確保を可能にした。現在ではHTが確立したスタンダードが唯一の基準として受け入れられている。

ちなみに、EU規則では、契約の合計額が契約期間を通じて3,042,389DKR (約4,500万円)以上の場合、契約ベースで行われる全ての公共サービスは入札制度を採用することになっている。

 

ii) 委託事業者

現在、6つの事業者と契約している。2つの大手委託事業者が全体のトリップの82%を担っている。2社はハンディキャップ・サービスの分野では新規参入の事業者であるが、通常のバス運行では実績のある事業者である。大規模事業者によるサービスの利点は、組織力、管理力、トレーニング、そして価格にあることは明確である。

コスト面の利点でいえば、以前のままの態勢で、つまり外部委託をせずに、コンピューターを導入しないで、自前で職員を抱え、予約・計画・配車・運行を行ってきた場合、年間でおよそ6,000万DKKの出費増加になっていたと試算されている。

HTは、需要に応じて一定の時間帯における交通サービスに対して委託を行う方式を採用している。この方式は、車両一台あたりの最小稼動時間は7時間で、最大は12時間である。例えば、A車は一日10時間の運行契約を結んだとすると、HTは確保したその10時間枠の中でA車を用いた輸送計画を組む。そのため、予約は少なくとも前日までに行う必要があるのである。

日中のある時間帯には予約がいっぱいになる可能性があり、特定の時間帯には集中的に車両を割当て、それ以外は契約しなければ、委託コストの無駄も少なくなる。この方法を維持するためにも、詳細なスケジューリングが求められている。

 

 

 

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