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d. サービスの実施内容

i) 利用回数と料金と運賃

 

表4-4-2-6 利用の概要

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利用の概要は表4-4-2-6の通り。利用回数は、週に一度一往復できることを目安に設定されている。平均的な利用実態は3ヶ月間の使用が9回である。26回を超える場合は超過料金を負担すれば使用可能である。都市圏に隣接する地域については、別料金を払えば利用可能である(こうしたトリップの平均的な運賃はだいたい180DKK)。

 

ii) 運行時間と運行範囲

運行は24時間365日である。島や遠方に出かける場合でも国鉄を経由して移動する事ができる。橋が完成したので、スウェーデンに行く事も可能である。地方ではDSB (国鉄)が運行するハンディキャップ・サービスを利用できる。このDSBのハンディキャップ・サービスについては後述する。

 

iii) サービス実施内容

もっとも重要なのは、階段の上下移動の介助が受けられることである。デンマークは19世紀に多くの住宅が建てられたことから古い建物が多く、エレベーターがないことが多い。移動に制約のある人は、道路レベルまで運んでもらう必要がある。予てから、HTは利用者の階段の上下移動への対応を求められていたが、それを行うためには少なくとも2名の係員を要した。

1992年に車いす使用者を人手により、階段で上下移動を行うことに反対する法律が制定された。これにより、結果的に階段昇降機の導入が義務づけられた。階段昇降機(商品名スカラモービル)は、介助者1人でも車いす使用者を介助でき、力を使わずに階段を昇降させることができる(ストックホルムSTSの写真参照)。この装置の導入は、労働環境の改善のみならず、装置の操作にあたっては1名で十分という事実からコスト的にもプラス効果をもたらした。

階段昇降装置は、年間でおよそ40,000回使用されている。幸運にも現在まで事故はない(装置の導入前の人手により対応していた時には事故があった)。ハンディキャップ・サービスを受託する事業者には、装置の扱いに関するトレーニングが必須であることが契約として明記されている。

なお、この昇降機はデンマークではおよそ4万DKK (およそ60万円)、日本では車いすとセットで98万円で販売されている(2000年国際福祉機器展)。既にわが国の自治体や福祉施設などでも導入されている。

 

 

 

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