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つまり障害のある人や高齢の人々が買物に訪れることによって、小売り業者の売り上げが増加することにもつながるというものである(表3-4-3-10)。

 

表3-4-3-10 売り上げ増加の例

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h. ショップモビリティが発展する背景

ヨーロッパの中でも、イギリスはショップモビリティという独特のモビリティ支援の仕組みが育っている。利用者が自らの車いすでショッピングに来ればいいとも考えられるが、なぜショップモビリティが発展するのか。要因はいくつか考えられる。

自分の車いすで買物に出かけない理由の一つは車いすの価格が影響していると考えられる。電動の車いすが£3,000くらいするので、購入できる人が限られている。支給という考え方はあるが、給付の認定が厳しい。自治体の財源が乏しいので、支給も手押しの介助用車いすのみという場合が多い。レンタルをしても1日£12くらいかかるので、個人が電動の車いすを所有するのは難しい。

もう一つの理由は、政策的な観点から見れば、個人を対象に車いすを支給するよりは、皆に貸し出したほうが効果が大きく、圧倒的に安上がりという考え方が影響していると考えられる。ショッピング・モールで貸し出しを行えば、取り組みのPRにもなる。以前は福祉課からの支給であった車いすも、外出の機会を保障する観点から需要が増え、同時に皆が車いすを持てない状況があり、その融合策としてのショップモビリティが発達したと考えられる。

さらに別の要因として、ショップモビリティを実施しやすいモールが多く整備されていることも一因と考えられる。また、ショッピングモールはかなり大規模なものもあり、長い距離を歩いて移動できない人にとって、車いすの貸し出しは非常に便利である。

 

図3-4-3-6 住宅地とショッピングセンターを結ぶ各種のコミュニティ・バス

(ミルトンキーンズ市のコミュニティ・バス−下左−、車いすの固定−下右−)

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また、自宅からショップモビリティを実施しているショッピングセンターまでの移動手段が確保されていることが大きな要因である。

 

 

 

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