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(3) 英国における地域交通スキーム

ここでは、通常の公共交通機関を補完する、またはそれに代る手段として役割を果たしている地域レベルの交通システムについて述べた。イギリスではコミュニティ・トランスポートをはじめこうした地域レベルでの独自の交通サービスが非常に発達している。

 

1] コミュニティ・トランスポート

a. コミュニティ・トランスポート

コミュニティ・トランスポート(以下CT)は、英国で地域の住民、グループ、自治体等により運営されているバスやバンなどの車両を用いた交通システムで、地域やグループのニーズに基づいて計画され、運行されている。国内で広く普及しており、その地域やグループに必要な交通サービスを、関係者が中心となって運営していると考えればよい。多くはミニバスやバン車両を使用しているが、個人所有の自家用車によるソーシャル・カー・サービスも行われ、実施形態は多様である(図3-4-3-1)。零細な事業者やNPO的な組織が運行する場合が多く、住民やグループ関係者がドライバーをしている場合もある。

自動車を所有できない層などにとっては生活上、欠く事のできない交通手段である。また、公共交通がアクセシブルでないために、利用できない高齢者・障害者のための交通サービスも含まれる。さらに、地方自治体による交通不便な過疎地域や、通勤、通学、ショッピングセンターへの定期運行なども実施されている。以下にCTの主な形態をまとめた(表3-4-3-1)。

 

図3-4-3-1 CTAロンドン支部、コミュニティ・トランスポートの車両

070-1.gif

 

表3-4-3-1 コミュニティ・トランスポートの主な形態

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出所) 高橋万由美「イギリスにおけるコミュニティ・トランスポート」から引用・加筆作成

 

 

 

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