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イギリスにおけるダイアル・ア・ライドのサービスは1972年から開始されたとされているが、その後コスト面の問題などから、廃止されたり、路線を固定化するなど、次第に本来の姿を消していった。ロンドンでは1980年に一部のバラで開始され、1985年までに全域で運行されるに至っている。

なお、ロンドンにおけるスペシャルトランスポートは2つのサービスがある(表3-4-2-2)。将来的にこの2つの交通サービスが効率化のために統合される可能性もある。

もう1つのサービスであるタクシーカードは、ロンドン内のバラのほとんどが実施しているプログラムである(他の都市では見られない)。各バラの障害を持つ居住者は、アクセシブルなタクシーを割引料金で利用できる制度で、タクシー会社には行政から割引分が補填される。利用資格はダイアル・ア・ライドと同じで、障害があり、公共交通の利用が難しい人が申請によりタクシーカードの交付を受ける。タクシーを利用しているため、利用回数、利用時間の制限がなく、電話予約で利用可能である。運賃の一定額までは、補助により定額利用(バス運賃程度)で利用できる。

 

表3-4-2-2 ロンドンにおけるスペシャルトランスポート

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タクシーキャブについては、バラから年間約700万ポンドの補助が行われている。

TfLの担当者によれば、今後の政策の方向として、高齢者、障害者も公共交通を利用できることが重要と考えられているが、50mでさえ歩けない人がいる現実に照らして、ドア・ツー・ドア・サービスは依然として必要であると考えられている。ダイアル・ア・ライドとタクシーが統合すれば、安くかつ多くのトリップに対応できると考えている。 

 

f. その他(ステーションリンク、モビリティ・バス、エアバス)

i) ステーションリンク

ロンドンの国鉄駅間を運行する完全にアクセシブル化されたバスサービスである。スロープを装備したローフロアバスが毎日、ほぼ1時間に1本の割合で運行されている。ロンドンの都心部を取り巻くように国鉄の駅があるため(国鉄路線は直接都心中心部には乗り入れず、周辺から放射状に郊外に路線が延びている)、双方向に環状運転されている。SL1と表示された路線が時計回りに、SL2と表示された路線がその反対に周回している。利用者を限定せず、誰でも乗車することができる。

 

ii) モビリティ・バス

リフト付きモビリティバスはロンドン郊外を中心に、週に1から2回のダイヤで運行されている。買物バスとしての位置付けである。住宅街とバリアフリー化されたショッピングセンターを結んでおり、予約も要らないため好評であるが、運行日が少ないのは利便性上の課題といえる。

 

 

 

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