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図3-4-2-2 TfLの組織図

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b. 新市長と交通政策

1997年にブレア新政権がロンドンの交通の再編を打ち出した。それを受けて、議会で選出された交通委員のメンバー(市長含む)が再編策の検討を進めている。政府は公共事業の分野で民間企業のノウハウを活用する政策を展開している。交通事業についても民間企業との契約ベースによる事業展開を進めている。例えば地下鉄は民間会社にインフラの整備を行わせて、完成後にTfLに長期貸与した後、引き渡す方式である(PFI方式)。地下鉄ではスタッフの雇用と信号機部門を公共に残して、駅の内装、車両、線路等は100%ではないが民間に委託している。Long Term Lease (長期リース契約)方式で3つのコンソーシアムをつくり、30年後に政府にインフラストラクチャーを返還する契約である。

一方、ロンドン市長には2000年5月の選挙で、現実的な政策マンとして評されるケン・リビングストン氏が選出された。市長の4年間の任期中の主要な仕事の1つとして位置づけられているのがトランスポートである。交通事業を民間委託にして効率化を促進するという政府の意向に反して、市長は民間委託および長期リース方式はかえって高コストになる場合があるとして、好ましくないという考えを表明している。市長と政府の見解の相違から、今後、ロンドンの交通にも様々な影響を与えると考えられている。

 

2] 高齢者・障害者への対応(TfL Access & Mobility部門)

a. アクセス&モビリティ部門

TfL (ロンドン都市圏交通事業体)の中で高齢者・障害者の移動の円滑化を担当する部局は、アクセス&モビリティ(Access & Mobility)部門である。同部門は、従前の障害者対策室(Unit for Disabled Passengers)であり、ロンドンの公共交通のアクセシビリティを改善するために1984年から設置されている。従前の名称が変更されたのは、病院の一部門のような閉鎖的かつ限定されたイメージを一新するためである。

 

 

 

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