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3-2 イギリスの交通のアクセシビリティに関する政策

(1) この節の概要

この節ではイギリスの交通のアクセシビリティに関する政策について、英国環境・交通・自治省(DETR)の資料をもとに述べる。

イギリスの法制度として重要なのはDDA (障害者差別[禁止]法:Disability Discrimination Act)であるということができる。1995年のDDAにより、すべてを包括するような市民権的なアプローチによる取り組みで障害者についての問題を解決する方向になった。DDAは雇用、商品・サービスの提供、土地や商品の購入及び賃借に関係することで障害者を差別することを禁止している。この法律の推進のための機関の一つとして、障害者差別に関する問題を政府に助言するための全国障害者委員会(National Disability Council)が設置された。DDAに関する政府のスタンスは、規制を強化しただけでは長期的なバリアフリー整備を望めないとして、交通事業者等が段階的に取り組みやすいように配慮することである。過度な要求で事業者がドロップアウトするよりは、確実に取り組める方法がよいということである。こうした国レベルの政策的な枠組みと、地域レベル、交通モードごとの政策の概要について述べた。

さらに、交通分野で今後10年間の大きな転換のきっかけになると考えられる「10ヶ年計画(DETR Transport 2010 ‐ The 10 Year Plan)」(資料3も参照のこと)についてその概要を述べた。

 

(2) 英国環境・交通・自治省(DETR: Department of Environment, Transport and the Regions)

1] 国家レベルの施策

a. 主な法制度とその背景

法制度の中で取り分け重要なのはDDA (障害者差別[禁止]法:Disability Discrimination Act)である。英国では、これまですべてを包括するような市民権的なアプローチを避けてきた。これまでは障害者に対する差別は自発的な方策やイニシアチブによる取り組みで解決するというもであった。しかし1995年のDDAにより、その方向性が変わったということができる。

主な法制度とその概要は表3-2-2-1に示した。

 

 

 

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