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(3) スウェーデン

1] 政策の方向性

国家レベルの政策は、広く社会の様々な領域で、国や地方自治体等がアクセシビリティを改善する機会を創出できるように、その目的が定められている。同時に、こうした施策は障害者が社会のメインストリームに参加できる機会が均等に得られるよう考慮されている。特に地方自治体のレベルでは、地域の障害者団体や関連する事業者等のセクターを結び付ける重要な役割が与えられている。

交通に関するアクセシビリティと情報技術に関するアクセシビリティが重要な位置付けを持っている。

また、当然ながら、障害者に関する政策は福祉や保健に関わる部分だけではないという点が認識されている。そのため、教育、雇用、労働市場、経済、住宅、交通などに関する政策についても、障害者に関わる課題が認識され、政策に反映されるよう配慮されている。政府レベルの横断的な専門家組織として、国家保健福祉委員会(the National Board of Health and Welfare)が位置づけられている。

スウェーデンでは障害者団体の代表が、保健・社会総務大臣および関連する大臣と、少なくとも年1回の会合を持っている。こうした会合や日常的な障害者政策に関する省庁間のやりとり、および障害者団体等との調整のために、国家秘書官グループ(the State Secretary Group)がその役割を担っている。

 

2] 諮問機関等

a. 障害者オンブズマン制度(Handikappombudsmannen)

スウェーデンのオンブズマン制度は、国民の目から見た監視制度として不正や問題点がないかチェックを行う国民の利益にたった制度である。

障害者オンブズマン制度は、国会オンブズマン、消費者オンブズマン、マスコミオンブズマンなどと並んで、障害者の権利擁護のための制度として機能している。1994年に設立され、障害者の権利と利益に関する問題を監視している。オンブズマンは障害者政策の全体目標である「完全参加と平等」の達成のために活動している。主として雇用問題への取り組みが多いが、移動の円滑化の推進にも役割を果たしている。活動のもう一つの重要な立脚点は、国連の標準規則が遵守されているかという点にある。活動は特別法によって定められ、法的な欠陥の是正方法を模索したり、具体的に修正案を提起するなどの活動を行っている。

 

b. 国家道路局(the National Road Administration)

国家道路局は、公共交通全体において障害者のニーズに関して便宜を図る役割を負った中心的な行政機関である。

 

 

 

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