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3] タクシー

a. 各国の車いす対応型タクシー普及状況

1985年当時、車いす対応タクシー車両の台数を把握していたのは5ヶ国に過ぎない。1995年時点では7ヶ国がデータを示している。特にイギリスの台数は、0台から13,300台に増加しており特筆に価する。これは、タクシーを管轄する警察の規則により、1989年以降に新規に免許を取得するタクシーにアクセシブル化が求められた事による。また、2000年1月1日までには既存車両もアクセシブル化が義務づけられ、ロンドンタクシーの全てが車いす対応となった。これに続いて地方都市でも対応が進むと考えられる。

フィンランドでは、1985年当時と比較して台数は4倍化している。ノルウェーでもほぼ2倍化している。この2国はデータを丁寧に整理しており、フィンランドでは車いす対応車両以外にも、回転式シートを装備した車両台数も把握されている。チェコやフランスの普及台数はほとんど0に等しいが、数字が報告されるようになったということは、アクセシブルなタクシー車両への関心が高まってきた証拠といえる。

 

b. 車両改造に係るコスト負担

ほとんどの国では、タクシーのアクセシブル化のための改造費用は事業者の負担となっている。

イギリスでは、地方自治体がこうした助成を実施することが制度的には可能であるが、多くの自治体は補助を行う方針をとっていない。

フィンランドでは、回転シートは事業者の負担であるが、営業許可車のうち車いす対応の義務化を負った車両(タクシーおよびミニバス)のローフロア化については、自動車税が免除される制度がある。それ以外のタクシーおよびミニバスについては、運輸通信省から、リフトの購入および設置費用の補助が交付される。

スペインでは障害者の社会参加促進財団(Fundacion ONCE)が、車いす対応装備のための助成を行っている。これにより通常のタクシー車両と同じ価格でアクセシブルな車両が購入できる。また、ヨーロッパ諸国では「タクシーフォーオール」のプロジェクトが進められており、車両開発、運行方法等が研究されている。ちなみにヨーロッパではないが、表2-1-3-4のカナダでは、タクシーのアクセシビリティに関する装備の75%を国庫補助する仕組みがあり、州ごとの助成制度と組み合わされて利用されている。

 

 

 

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