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(3) 欧州諸国の交通のモード別アクセシビリティに関するデータ

車両等のアクセシブル化について、欧州運輸大臣会議参加国のうち14ヶ国(カナダ含む)について調査を行ったデータがある。ローフロアバスを始めとする、アクセシブルな車両等について、欧州の全般的な普及率を知るのに適したデータである。以下に主要なデータ(LRT・トラム、バス、タクシー、ST、障害者用改造自家用車、車いす使用者数の順)を示した。

なお、表に示されたデータは1985年の調査及び報告が行われた1995年時点のデータを比較して構成されている。アンケートによる回答方式のため、回答方法が一致しないものや空欄もあるが、もっとも網羅的にデータを収集している調査のひとつと考えられる。こうしたデータは、残念ながら2000年時点の最新のものは揃っていない。

表2-1-3-1から2-1-3-7までの出典はすべて、欧州運輸大臣会議(ECMT)1995年。Report on the Overview of Progress Made in Improving Accessibility in Transport for People with Mobility Handicaps.による。

以下の各表では、上記レポート作成時点のデータ比較を活かすため、原典からそのままのデータを記載した(=部分的に最新のデータと入れ替えることはしていない)。したがって、この度、調査を行った3ヶ国の最新の数値と一致しない部分があることを記しておく。最新数値は本文の当該箇所を参照されたい。また、表下部の※印は原典に付されていた注釈を訳したもの、(注)は当委員会事務局で付したものである。

 

1] ライトレールおよびトラム

下表によると、LRTの普及率が高いドイツでローフロア車の導入が進んでいる。この時点で全体のおよそ5分の1がローフロア化されていた。1985年から1995年にかけて、ローフロア車を導入したシステム数が変化していないが、プラットホームの嵩上げによる段差解消が実施されている(主としてトラム)。

オーストリアではウィーン市内の地下鉄のみがローフロア化されている。

フィンランドではヘルシンキの唯一の地下鉄がローフロア化されているが、これは1970年代初頭に作られたもので、開業当時からアクセシブルであった。また、当初から視覚障害者への配慮もなされていた。

フランスでは8つのシステムがあるが、詳細な数字は報告されていない。近年建造されたリヨンの地下鉄やグルノーブル、ストラスブールのLRTなどは車いすでの利用に対応している。チェコではプラハの地下鉄がプラットホームの嵩上げを行っている。また、リフトおよびスロープによる乗降方法も取り入れている。

これらの国々では、ドイツ、イギリスなどが新たな路線計画を持っており、そうした新規路線では完全にアクセシブル化されることになっている。また、新規路線を導入しなくても、既存のシステムを改善してアクセシブル化するレトロフィット(retro‐fit)を行う計画があるのが一般的である。

イギリスでは国をあげてのLRT等のアクセシブル化計画はないが、ロンドン交通事業体は積極的に地下鉄の駅のアクセシブル化を進める計画をもっている。

 

 

 

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