エコモ最前線レポート
忘れないで!600万人の聴覚障害者のための配慮を!!
交通バリアフリー法の施行等によって公共交通施設・交通機関の高齢者・身体障害者などに関するバリアフリー化はいろいろ進められていますが、聴覚障害者数は、軽度難聴者を含めると約600万人と推定されており、聴覚障害者の存在は軽視されているようです。
聴覚障害は『見えない障害』だから、黙っている限り誰も手伝ってくれないし、周りの人も何をどうしたらよいのか分からないのが現状です。聴覚障害者自身が旗振り役になっていかないと物事は解決しないのです。
聴覚障害者は、基本的に音声、コミュニケーションに関して困っています。これを解決するためには、音声は振動・光などに変え、コミュニケーションについては見える形にすればよいのです。最新技術を駆使すればほとんど解決できますが、聴覚障害者の機器開発は遅れ気味です。改善への要望は色々あるものの、他の障害者に比べて関心が薄いためか取り組んでくれる人も少ないのも一因です。聞こえることを当たり前と考えている限りは、聴覚障害者のバリアフリー化は難しいと思います。しかし、人間も生物である以上、だれもが老います。誰もが障害者にならないという保証はないのです。年を取っても、障害者になってもありのままの姿で旅行し、電車・バス、ホテル、タクシーなどを利用したいと思っています。少数者のために配慮するという考えではなく、すべての利用者のために配慮するというポリシーを持っていただきたいのです。
それから、様々なところで手話窓口が広がっています。多くの人は聴覚障害者=(イコール)手話と錯覚しています。しかし、手話のできる人は5%(30万人)です。聴覚障害者のコミュニケーション方法は多様であり、圧倒的に多い難聴者には磁気誘導ループ、筆談が出来る人には簡易筆談器がほしいところです。そして、聴覚障害者のバリアフリー化は国際空港などを中心に進んでいますが、特に緊急時の対応はできていません。そのため、置いてけぼりを食らうことも少なくありません。
ソフト面の配慮も重要です。色々配慮してもPRしないと宝の持ち腐れになりかねません。それを避けるためにもパンフレットやホームページなどにもその案内を載せる、受付などにも聴覚障害者のためにはこのような配慮がありますと案内を掲示するなど細かく対応する必要もあります。
聴覚障害者が何に不便を感じ、どのようなものを必要としているのかに関心をお持ちの方はJR中野駅前の(株)ワールドパイオニア「聴覚障害者用日常生活用具、補聴システム等体験ルーム」にお越し頂ければ約60種類の関連機器が体験できます。