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1988年RI (リハビリテーション・インターナショナル)の世界会議が新宿で行われた際に、DPI(障害者インターナショナル)がRIに参加していた世界の障害者とともに「誰もが乗れる交通機関を求めて」をスローガンにして行進をしました。その後DPI日本会議を中心として毎年全国25都市3000名の障害者が参加して全国行動が行われるようになりました。

その結果、4年後の1992年には運輸省が「鉄道駅のエスカレーター整備指針」を出しました。しかしエスカレーターは車いす等の垂直移動の困難を解消するものではないという障害者の意見が理解され、翌年には「鉄道駅エレベーター整備指針」が出されました。また、1991年には運輸省内に「消費者行政課」が設置され、利用者サイドに立った公共交通機関のあり方が問われるようになりました。

そして2000年には「交通バリアフリー法」(仮称)が成立し、駅舎のバリアフリーにとどまらずバス、船舶等も障害者が利用しやすいものに改善されることになりました。

一方、空港のアクセスについては配慮はされていますが、まだ十分とはいえない点があります。空港では鉄道駅ほどの日常性で車いすの方の対応をしていません。東京駅では日に100台の車いす客が利用するそうです。障害者と数多く触れ合って理解を深めることがこれから必要と思われます。

「障害者は不幸なのではなく、不便なのだ」といわれますが、障害者に不便な思いをさせているのは健常者用に作られた建築物や規則です。不便が無くなれば障害を持つことはなんら問題ではありません。このような観点から障害というものを否定的に見るのではなく、どんな重度の障害を持っても介助を受けても地域のなかで普通の生活が送れるようにしよう、その生活を支えることができるような24時間の介助サービスや介助者を使っての生活方法を教える自立生活プログラム、障害者の先輩が後輩に行う対等な関係性で行うピアカウンセリングを行う自立生活センターが1986年に日本でも設立され、現在全国で95ヵ所にもなっています。

この障害者たちが社会参加し、自らサービスの提供者となり、日本の福祉を当事者主体のものにしようとしています。

 

 

 

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