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切断等の理由から車いすを使用している人は、事故などの原因のほか、糖尿病による血管の壊死(えし)による下肢切断も含まれます。車いすだけではなく、義肢等を装着して生活している人もいます。

脳血管障害により車いすを使用している人は、左右いずれかの片麻痺の状態であることが多く、片方の手足で車いすをコントロールしています。また、軽度の場合は杖歩行が可能であったり、下肢装具をつけて、ゆっくり歩ける人もいます。介助の場合は麻痺している足を巻き込まれないよう、障害者の姿勢を確認する必要があります。

脊髄損傷による麻痺は、脊髄の神経が切断されたり、損傷を受けた位置により下半身、四肢などの麻痺が生じます。交通事故や運動中のけがなどによるものが多く、歩行が不可能になります。そして、便意を感じなかったり、体温調整ができなかったり、床ずれになるなど、生活上多くの介助が必要になる場合があります。冷房、暖房の効き過ぎには注意が必要です。また、一般的には車いすのシートにクッションを乗せているのは、座布団代わりではなく、床ずれを防止するための必需品であるためです。

脳性麻痺は、出産時に何らかの原因で酸素が不足し、脳の細胞が損傷をうけ、麻痺が見られます。不随意の動きをしたり、手足に硬直が生じていることがあり、細かい作業(切符の購入など)に困難を来す場合があります。また、言語障害を伴う場合も多くあります。障害の程度により、単独歩行や杖歩行が可能な人もいます。また重度障害の方には、知的障害と重複している場合もあります。

進行性筋萎縮症は先天性と成人になってから発症するものがあります。進行性のため、徐々に歩けなくなり、車いすを使用するに至ります。首の座りや姿勢を維持するのが難しい場合もあり、筋肉が弱っていることから身体に触れる介助は十分な配慮が必要になります。

リウマチは慢性的に進行する病気で女性に多く見られます。多くは関節を動かすと痛みを感じます。関節が破壊されていくため、特に足など力のかかる部分は、大きな負担に耐えられなくなります。そのため、症状が重くなると車いすを使う場合があります。

 

5] 視覚に障害のあるお客さま

視覚に障害のあるお客さまには、主として音声による情報案内が必要になります。たとえば、運賃や乗り換えの経路の案内、駅構内の案内などです。また、ホーム上での適切な誘導による安全確保など、移動の安全に関する介助も重要です。

視覚障害者というと、まったく見えない全盲の方を想像しがちです。しかし、弱視といって、光を感じたり物の輪郭等を判断できたり、誘導ブロックの黄色いラインを目印に外出できる人たちもいます。ほかに、視野の一部に欠損があり、周囲の情報を十分に視覚的に捉えることができない障害もあります。また、色盲、色弱といった色の判別が困難な障害もあります。

 

 

 

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