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そのため交通バリアフリー法では、第4条の4及び5において、

○「公共交通事業者等は、高齢者、身体障害者等に対し、これらの者が公共交通機関を利用して移動するために必要となる情報を適切に提供するよう努めなければならない。」

○「公共交通事業者等は、その職員に対し、移動円滑化を図るために必要な教育訓練を行うよう努めなければならない。」

として、高齢および障害のあるお客さまへのソフト面の支援、職員に対する教育訓練の必要性が明確に示されています。

施設のバリアフリー整備が過渡期にあるなかで、交通事業に従事する者が、お客さまの円滑な移動のお手伝いをする場面は、ごく日常的に存在すると考えられます。設備などのバリアフリー化をハードの整備とするなら、わたしたちが行うサポートは、それを補完するソフト面での対応といえます。この二つが合わさって、より快適で安心して利用できる公共交通が実現できるのです。

 

4] より快適な公共交通を目指して

昨今の環境問題を考慮しても、自動車の利用と比較して公共交通機関の優位性が注目されています。公共交通機関が環境だけでなく、人にやさしい、快適な移動手段であるということは、多くの人にとって大きな魅力であるということができます。

より多くのお客さまに安心して快適にご利用いただくために、接遇・介助についての基本的な知識と技術をわたしたちが身に付けることが必要です。このマニュアルの内容をマスターし、日常業務においてぜひ役立てたいものです。

 

5] 接遇・介助をより深く理解するためのキーワード

バリアフリー(Barrier-free):

⇒障害者が社会参加するうえでの障壁(バリア)をなくす(フリー)こと。当初は建築物や道路などにおける物理的障壁を取り除くことを意味しました。近年では、広い意味で障害者の社会参加を困難にしているすべての障壁(バリア)を取り除くことを意味します。また障害者に限らず、性別、人種、年齢などによる差別や偏見などの障壁を取り除く意味を含むことがあります。

バリアは大きく以下の4つに整理して考えることができます。

1) 物理的バリア:道路、建築物、住宅、駅などで生じるバリア

2) 制度のバリア:教育、就労、資格取得、地域での自立生活などで生じるバリア

3) 文化・情報のバリア:特に視覚障害者、聴覚障害者にとって日常生活に欠かせない情報が、利用できるかたちで提供されていないことなどに起因するバリア

 

 

 

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