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そこで、海上における遭難及び安全に関する世界的な制度の各水域を航行する船舶に対しての搭載要件は、次のように集約することができる。

イ. A1水域航行船はVHF装置を持つこと。

ロ. A2水域航行船はVHFとMF装置を持つこと。

ハ. A3水域航行船はVHFと、MFと、HF又は衛星装置のいずれかの3つの装置を持つこと。

ニ. A4水域航行船はVHFとMFとHF装置を持つこと。

ホ. A2、A3、A4水域航行船は衛星系 EPRIBを持つこと。

ヘ. A1水域航行船は衛星系 EPRIB又は VHF EPIRBのいずれか1つを持つこと。

ト. NAVTEXサービスを受けられる水域で行動する全船は、NAVTEX受信機を持つこと。

以上の搭載要件を、SOLAS条約では表1・1の一覧表のように定めている。

GMDSSはこのようにして船舶遭難時の通信だけでなく一般通信も含まれることになったので、搭載設備も非常に種類が多くなった。その結果、遭難時に船長はどの装置を使って、どのように送信すればよいか判断に迷うことが予想された。そこで日本船長協会では、船舶遭難時にGMDSSを使用する上で船長のなすべき処置の指針を与えるべく、国際船長協会を通じて1990年12月の第36回無線通信小委員会に「GMDSS operating guidance for shipmasters in distress situations 」として流れ図形式の指針案を提出した(COM 36/3/11)。

この案は、1991年の救命捜索救助小委員会及び無線通信小委員会で審議され図1・2のような流れ図が採択された。各船はこの図を参考にしてその装備状況に応じた流れ図を作成して、船橋に掲示するよう勧告されている。また、この流れ図はMERSAR Manual (Merchant Ship Search and Rescue Manual)に付加されることになった。

この流れ図によれば、遭難時緊急の場合は EPRIBのスイッチを入れSARTと双方向無線電話を持って救命筏に乗り、SARTのスイッチを入れて救助を待てばよいだけであることが分かる。

 

 

 

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