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(2) マグネトロン回路では、トリガ信号が入ると定められた出力で、定められた波長のマイクロ波を、定められたパルス幅の時間送信する。

(3) マグネトロンから出たマイクロ波は図6・13の(b)に示すようなパルス波に変調され、これが導波管(又は同軸ケーブル)を通って、送受切替装置を経てアンテナ(レーダーではスキャナーともいう。)に送られる。送受切替装置では、送信パルスは受信装置の方には行かず、アンテナの方にのみ行くようになる。受信した物標からの反射信号は逆にマグネトロン回路の方には行かず、受信装置の方にのみ行くことになる。

(4) トリガ信号は、レンジ用矩形波発生回路に入り、図6・13の(c)に示すような使用レンジに相当する時間の矩形波を作り出す。この矩形波は、固定距離目盛回路・可変距離目盛回路・表示器電源回路・鋸歯状波発生回路に供給される。

(5) 鋸歯状波発生回路では、トリガ信号が入ると図6・13(d)に示すようなスイープをする鋸歯状電流を作成して、ブラウン管の偏向コイルに流す。スイープの速さは、レンジの選定によって定まり、PPI画面の表示範囲(レンジ)が定まる。

(6) STC (Sensitibity Time Control)回路では、トリガ信号が入ると図6・13の(e)のように一旦電圧が降下して以後徐々に回復する形の電圧が作成されて、これが中間周波数増幅器に加えられる。このため中間周波数増幅器の感度は、スイープの始めは一旦低下し徐々に回復するから、自船の近くの感度は下がり自船の周囲の海面反射を消すことになる。始めの電圧降下量を変えれば、感度が回復する時間を調節することができ、これが海面反射抑制制御となる。

(7) 固定距離目盛回路では、レンジ用矩形波が入ると図6・13の(f)に示すような一定の間隔ごとのパルス状の電圧が作成され、これがビデオ増幅器に加えられるので、スイープ上に一定間隔ごとの輝点が発生し、スイープ線の回転(スキャン)とともにPPI画面上に一定距離ごとの同心円が表れる。

(8) 可変距離目盛回路では、図6・13の(g)に示すようにレンジ用矩形波が入ってから可変距離目盛の距離を変えるつまみで定まる時間だけ遅れたところに、パルス状の電圧が作成され、これがビデオ増幅器に加えられるので、スイープ上のある距離のところに輝点が発生し、スイープ線の回転(スキャン)とともにPPI画面上のある距離のところに円が表れる。

 

 

 

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