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これをノモグラフで示すと、図2・1となる。

ここにおいて、ノモグラフの使用法は、次のとおりである。

イ. スケールにて、空中線高さ(ha)及び物標の高さ(ht)を結ぶ直線を引く。図では、空中線の高さが15m、物標(山)の高さが1,000mの場合を例示している。

ロ. 探知可能距離Rとの交点の値を読みとる。図では空中線高さが15m、物標の高さが1,000mの場合、探知可能距離が、約79マイル(約146km)であることを示している。

この式による探知距離は、あくまでも理論的最大値であって、実際にはレーダー本体の性能、すなわち送信電力、空中線の利得、受信器の感度等のほかに、導波管の長さや物標の大きさにも大きく左右されるものである。通常のレーダーでは、更に、空中線の高さによっても異なるが、電波伝搬上で物標に対するレーダー電波の直接波と海面からの反射波によって電波位相が干渉しあい、大略20海里以上では海面スレスレには電波が到達しなくなるなどで、急激に物標の反射電力が小さくなって最大探知距離が延びなくなる性質があり、異常電波伝搬を除き、理論値より大幅に下回ると考えておいた方がよい。したがって、これはあくまで参考値として使用すること。

(b) レーダーの空中線高さによる最小探知距離

空中線の高さ(ha)と空中線の垂直ビーム幅(θ)により最小探知距離(Rmin)の制限がある。この関係は次式に示される。

123-1.gif

空中線高さをあまり高くし過ぎても、至近距離の目標が捕えられなくなる。

通常のレーダーの垂直ビーム幅は20〜30°程度なのでこの距離は空中線の高さの5倍前後で、小型船では問題ない。また、この距離以内でも有効反射面積の大きなものは十分に映像として現れる。

(c) レーダー空中線部を装備するマストのプラットホームはキールライン上にあり、360°にわたって視界を妨げる障害物のないことが望ましい。目視でさえぎられるマストなどがあるとその角度(図2・2のα)がレーダーの映像面上で陰になって抜け落ちるので、(1〜2度であれば感度が下がる程度)、船首方向にこのようなマストなどの障害物があるときは重大である。このときはプラットホームを上に移動し、障害物の頂点を見下ろす角度(図2・2のβ)が空中線垂直ビーム幅の1/2取れれば問題はない(普通βは約10度)。

 

 

 

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