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図6・7 衝突三角形

 

捕捉した物標は、その後の動きを連続的に自動追尾され、その追尾の結果として求められる自船に対する方位と距離の変化を計算機に入れるとともに、ある条件の下に、過去の位置のデータも記憶しておく。このとき、図6・7に示したように、自船Oから相手船Tの相対針路TC上に垂線を下ろしてその足をCとすると、OT、OC及びTCで三角形が構成されるが、このときの点Cを目標の最接近点=CPA (Closest Point of Approach)といい、この最接近点に到達するまでの時間、すなわち距離lを、相対速力VRで割った時間(l/VR)をTCPA (Time to CPA)という。また、OCは最接近点までの距離で、RCPA又はDCPA (最接近点距離)という。ただ、一般的には単にCPAということが多い。また、このようにして作られた三角形を“衝突三角形”と呼んでいる。

実際には、このとき計算機に入れられたそれらのデータから、捕捉した相手船の真の針路と速力及び自船に最も近づく距離(CPAという)とそれまでに要する時間(TCPA)等が計算される。その結果は、操作者の求めに応じてデジタルで表示されるとともに、相手船の針路と速力はCRT上にベクトルの線等で表示される。

衝突の予防には、衝突の予測とその回避の二面が考えられるが、極端にいえば、衝突の予測は複数の船舶が同一点を占有する場合についての予測であり、回避とは、複数の船が同一点を占有しないように操船することである。実際に操船する場合には、単なる点ではなくてある閉塞された領域を考える必要があり、これをCPA (Closest Point of Approach)という概念でとらえている。また、予測に関してはCPAに到達するまでの時間が必要になり、これをTCPA (Time to CPA)として考え、これらによって衝突の危険を判断する。

 

 

 

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