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図3・27に戻って、導波管内では電波は斜めに進行すると考える。このとき、電波の波長λは、図3・27又は図3・30の進行方向において、その位相が360度変化する距離に相当する。しかし、導波管から見ると、導波管の長さ方向に対してλより長い距離λgで位相が360度変化することになる。このため、導波管の管壁で求めた波長を管内波長λgと呼び、λ≦λgと管内波長の方が長くなる。

電波の管壁への入射角をθとすると、

λ=λg sin θ (3・1)

という関係が得られる。この場合、導波管の中での位相の進む速度VpはVp=C/sin θ(Cは光速度)となって、光速度よりも速くなるが、これは同じ位相の点が動く速さという意味で実際の電波のエネルギーの伝送速度ではない。

 

注:aは導波管のx方向(長辺)の内寸法

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図3・30 管内波長と遮断周波数

 

このVpを位相速度という。これに対して、エネルギーの伝送は群速度Vgで伝わり、これはVg=C sinθと逆に光速度により遅くなる。

053-2.gif

このように、導波管の中を斜な管壁で多重反射をしながら進む電波が、どのような斜行をするか、すなわち、θの大きさは電波の波長λと導波管の寸法aによって決まる。図3・30においてa cosθ=λ/2であるから、導波管の中をエネルギーが伝わる群速度Vg

053-3.gif

となり、ここでもλ≧2aになると、Vgは0または虚数となる。

 

 

 

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