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1・3 マイクロ波の伝搬

電波をその伝わり方によって大別すると、いろいろな形で地上を伝わる地上波と電離層で反射をしてくる電離層波などに分類できる。この地上波はさらに、次のように直接波と大地反射波及び地表波の成分に分類される。

1] 直接波:送信空中線から受信空中線に直接伝搬する電波で、一般にマイクロ波はこれにより伝搬する。

2] 大地反射波:大地で反射して受信空中線に達する電波で、一般に超短波は、直接波と大地反射波により伝搬する。

3] 地表波:地表面に沿って伝って伝搬する電波で、周波数の低い電波の伝搬形態であり、周波数が高いほど減衰は大きい。

レーダーで使用されているマイクロ波は、地球上層にあるE層、F層等の電離層を突き抜けてしまうので、一般の無線通信などでは、もっと周波数の低い電波による地上波を利用している。一方、電波はその周波数が高くなるほど光に近い性質をもつようになり、マイクロ波ではほとんど可視範囲を中心に伝搬する。したがって、レーダーが物標を探知する範囲は、船のレーダー空中線から目で見える範囲である。しかし、厳密には、大気の密度は高さと共に変化するため、大気中における光や電波の屈折率も同様に変化する。このため、レーダー波の通路は図1・4に示すように正しくは幾何学的な直線ではなく、ごくわずかではあるが多少下方(大地側)へ曲がるので、肉眼による光学的水平線(見通し距離)は、幾何学的水平線(接線)よりは少し長くなり、電波ではそれより更に長くなる。なお、その距離Dは次式によって概算することができる。

 

006-1.gif

図1・4 電波の見通し距離

 

海面からの空中線の高さをha(m)、物標の高さをht(m)とすると、光学的見通し距離は

006-2.gif

これに対してマイロク波の場合は、光より更に下方へ曲がり、その距離Dは次式で算出される。

 

 

 

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