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なお、直流電動機の電源側にサイリスタを使用し、電力の順変換と逆変換(直流から交流への変換)の両方を行わせる場合には、そのサイリスタ装置を一般にサイリスタ変換装置又はサイリスタコンバータという。

(1) 整流器の結線方式とその電圧波形

サイリスタによる整流回路と、その電圧波形は、結線方式と位相制御角(電圧位相に対する点弧パルス供給の位相遅れ)などによりそれぞれ異るが、ダイオード整流器の場合の電圧波形はサイリスタ無制御時(制御位相角α=0の時)に相当する。サイリスタ無制御時の直流電圧Edo(平均値)と電源側の交流電圧Ea(実効値)との関係は整流素子の順方向電圧降下を無視すると表2.1の通りである。

 

表2.1 交流入力電圧に対するダイオード整流器の無負荷電圧

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備考:(1) Ea:半波結線の場合は変圧器直流巻線相電圧(実効値)

ブリッジ結線の場合は整流器入力線間電圧(実効値)を示す。

(2) 混合ブリッジとはブリッジの片方のアームにサイリスタ、他の片方のアームにダイオードを配置し、サイリスタとダイオードを混用するブリッジ結線をいう。

ダイオードのみのブリッジ状整流回路では、混合ブリッジと純ブリッジの区別が生じないので、単にブリッジ結線という。

サイリスタの整流器の位相制御角と電圧波形との関係はかなり複雑であるが、概念的な理解をし易くするよう下記に代表的な結線方式について図示することとする。

(a) 単相全波混合ブリッジ

整流アームの半数にダイオードを使用するのでサイリスタの使用箇数が少ないし、又逆変換運転(インバータ運転)ができない。

位相制御角α=180°で負荷の種類(抵抗又はインダクタンス負荷)に関係なく電圧零となる。

 

 

 

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