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(3) 電食

異なった二つの金属を電気的に結合して電解質の溶液の中におくと、両者の間には電位差があるので、アルミ合金は陽極となってアルミィオンAl3+を放出しながら腐食していく。

この腐食を一般に電食(電気化学的腐食)と呼んでいる。

 

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以上のようにアルミ船には、アルミ船特有の色々な形態の腐食が発生する。したがって電装工事を施工するに当たっては、これら腐食の発生原因をなくする有効な対策を講じなければならない。

これらの考察に基づく基本的な防食の考え方は次のとおりである。

1] アルミ合金材に耐食処理を施す。

2] アルミ合金材と異種金属を直接接触させない。

3] アルミ合金材の接触面には水が浸入するような隙間を作らない。

 

11.2 電気艤装工事

11.2.1 一般

本章においては、現在実施されているアルミ船の電気艤装工事における電路の防食工事要領を取りまとめ、工事のガイダンスとして示す。

電路布設及び取付けなど詳細については、「3. 電路金物の取付け」を参照のこと。

 

11.2.2 電路など接触部の防食工事

電路金物、部品を接合する場合の防食は、次による。

(1) アルミ製品と異種金属をボルトで接合する場合

(a) 暴露部、水使用区画(便所、浴室、賄室など)、機関室床下など水の影響を受けやすい場所、その他湿気の多い場所(以下この章において「暴露部など」という。)においては、接合面及びアルミ部品と異種金属(座金)の接触面に絶縁材を挿入し、SUS製ボルトで取付けた後、接合面及び接触面に水が浸入しないように、シール剤でこれらの周囲を充填する。この場合、ボルトにはシールテープを巻くかボルトを腐食防止剤でコーティングする。

 

 

 

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