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(2) 交流方式による電気推進

電気システムは、適用される船の使用によってこれまで様々な方式が考案され実用化されてきた。特に近年、サイリスタなどの静止型電力変換素子を用いた産業用電動機の可変速度制御技術の発達・普及がめざましく、高い制御性能、保守性等の利点を有するため船舶の電気推進システム用としても広く採用されるようになってきた。

回転機についても、これまで制御の容易さやトルク特性の良さから用いられてきた直流電動機が保守に手間がかかるため徐々に用いられなくなってきたが、代わって交流電動機が、保守性の良さとパワーエレクトロニクス技術の普及により可変速制御が容易に実現可能となったことから、推進電動機の最近の主流となってきている。

従って、ここでは交流方式の中でも圧倒的に採用例の多いサイリスタモータ方式とサイクロコンバータ方式について、その概要を述べる。

(a) サイリスタモータ方式

サイリスタモータとは、矩形波電流形直流式無整流子電動機のことをいい、その主回路構成を図3・13に示す。

ここで直流式の主回路変換器は、直流電源を作る電源側変換器(コンバータ)および電動機に交流を供給する電動機側変換器(インバータ)から構成され、その中間に直流回路を持つ。電動機の速度調整は、コンバータのサイリスタ制御角を調整し、直流中間回路の電圧を変えることにより行われる。一方、インバータは、磁極位置検出装置からの信号をもとに分配器でゲートパルスを形成し、サイリスタにゲート信号を与えれば転流動作を行い、電動機の回転速度に比例した矩形波交流電流を供給する。

 

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図3・13 矩形波電流形直流式無整流子電動機の主回路構成

 

 

 

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