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単底構造の肋板の深さHは、Nの値に対して表示され、(408-(1))による。本船では規定の値326.9mmに対して、強度以外の設計上の要求により600mmとしている。肋板の厚さはHの規定値に従い(408-(2))によるが、欲をいえば実際の深さが規定値よりはるかに大なる場合には、それに応じて厚さを増す方が合理的と思われる。深くて薄い板は防撓の役目を果たし得ないことに注意する必要がある。主機室内の肋板は(408-3])により、中心線貫通板の厚さ以上となる。

肋板の上縁には(413)により規定の肋板の厚さに等しい厚さの形鋼を付け、その遊辺の断面積は(413-2])の表に示すようにNに対して定めてある。本船では肋板の上縁をフランジすることにより上縁の防撓の役目を果たさせ、前述のように肋板の深さが規定の600/326=1.84倍深いので、フランジ部分の断面積は規定の1/1.84でよいこととする。

主機台の下部の肋板では、面材の断面積は(414)により規定の2倍とする必要があるが、これも前項と同じく肋板の深さが規定より深いための軽減ができる。

肋板肘板の寸法は(411)により、高さは規定の深さの2倍、幅を規定の深さ以上、厚さを肋板の規定厚さ以上とする必要がある。本船では肋板の深さが規定の1.84倍であるので、高さは実深さの1.5倍、幅は実深さの1.08倍としている。このように基本となる寸法Hのいちじるしく異なる場合には、肋板をどうしたら船側外板および船側肋骨に有効に固着できるかということを第一に考えて、肋板の寸法をきめなければならない。構造規則だけでは設計ができないという一例である。

 

6. 肋骨

倉内肋骨の心距は(505)で算定したものを標準とすることになっており、本船ではほぼこれに従っている。船首尾倉の肋骨心距は(506)により、倉内肋骨心距と同じとなる。

倉内肋骨の断面係数Zは(507)により、現実の肋骨心距S、およびW、lの寸法(図参照)により算定する。Zの値が得られたら、これから附表-板付形鋼の断面係数および断面二次モーメントを使用して、肋骨の寸法を決める。Z=17.016cm3に対して、附表(1-1)によると平鋼の寸法は90mm×8mmで十分(Z=22.6cm3)であるが、本船は倉内容積からの要求で肋骨の深さを185mmとしている。(1本おきに深さ370mmの深肋骨をさらに配置し、減トンの配慮をしている)この場合Z=86.2cm3となる。これは附表(1-1)には出ていない(厚さ8mmでは深さ125mmまで)異例の寸法であり、このままでは横倒れの危険が多いので、構造強度上は推奨できない。現実には50×6の平鋼をT型に溶接して補強している。

船首尾倉および船楼の肋骨については、小型鋼船構造基準にはないので、鋼船構造規程(鋼規)を参考とする。まず、鋼規164条でZ=11.350cm3と算定される船首尾倉肋骨は、実船では前述の大きな倉内肋骨と同じとする。

 

 

 

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