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(3) トロコイド波と海洋波

a. 擺(はい)線の種類(第4-18図参照)

扁擺(へんはい)線(PROLATE(プロレート)曲線)

転り円(ROLLING CIRCLE)が直線XXの下方に接して滑らずに転りながら左から右へ移動する時に円内の1点(P)によって描かれる曲線。

プロレート曲線を正弦曲線と較べて見ると、波頂の部分は正弦曲線より尖っていて、波底の部分は平になっている。

擺線(CYCLOID(サイクロイド)曲線)

転り円が直線XXの下方に接して滑らずに転りながら左から右へ移動する時、転り円の円周上の一点(P')によって描かれる曲線。

外点擺線(CURTATE(カーテート)曲線)

転り円が直線XXの下方に接して滑らずに転りながら左から右へ移動する時、その円外の一点(P")によって描かれる曲線。

余擺線(TROCHOID(トロコイド)曲線)

プロレートとカーテートの両曲線を総称してトロコイド曲線と呼ぶ。

b. 波形

海洋(深海)に生じる波は観測の結果、トロコイド波の形とよく一致することが認められている。

トロコイド波は海面が広く、波長に較べて水深が大なる時に起きる。

海岸に接近して水深が次第に浅くなって来るにつれて波高が高くなって波頂が尖り、ついに巻き波(磯波)になってくずれるのも、この曲線の変化(扁擺線→擺線→外点擺線)と関連して考えられる。

c. トロコイド波形の作図

船の縦強度計算では船の長さに等しい波長の波で、波高/波長が1/20のトロコイド波の波頂に船体の中央が乗った場合(HOGGING(ホギング)状態)、及び波頂間に船がまたがって乗った場合(SAGGING(サギング)状態)を標準状態として強度を計算しているが、これは長さ150m前後の船に対しては大体適当であるが、これより小船では実際より過小な波高を用いる事になるので、小型船では許容応力を普通の場合より低目に適当に選定するか、又は波高を高目にする。

トロコイド波形を描くには、第4-18図の手法を用いても描けるが、船体各ORD.位置における、軌道中心線よりの波高(y)を計算した第4-20表によれば簡単に描ける。

 

 

 

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