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b. 小型軽量にして大馬力の舶用高速機関の種類が増え、選択の範囲が拡大されたこと。

c. 高張力鋼製、軽合金製、FRP製などによる船殻重量の軽減。

d. 新型式のものより経済的で乗心地・安全性・耐航性・騒音・特殊な発着場所を要しないなどの点で優れている。

(2) 船質

高速船は軽構造木製から、軽構造鋼製、軽合金製、FRP製へと移行したが、その優劣は一概にはきめ難い。

高速旅客船としては、軽合金製又はFRP製が重量の点で優れている。(軽構造鋼製は船殻重量が軽合金製の約1.4倍となる。)

軽合金製にはある程度の実績があり、FRP製は耐火性・廃船処理に問題があるが、最終的には価格が選択のきめ手となると考える。

(3) 主機関

一般に高速船は用途と船体に適合した小型軽量にして信頼度の高い高速エンジンを選定することが最も大切なことである。

(4) 主要寸法

LOAは呪単位(1ft=0.3048m)に基づいて決められている。例えば53ft=16.2m、70ft=20.4m、72ft=22m、78ft=23.8m、85ft=26.0mなどが最も多く、この辺りに推進性能上恰好なLOAがあるようである。また、軽合金製の場合には材料寸法と主要寸法間に工作面から推進性能に及ぼす大きな影響がある。

一般に排水量に対してLOAが不足な船が多く、これはもっと出し得る速力を損をしているだけでなく、耐波性・凌波性を含めた広い範囲で性能を落としている。L/Bが大きい方が耐航性能上有利であるといえる。B、Dについては範囲が狭く、LOAが同一ならば大差はない。

(5) 船型

a. 平水を航行区域とする高速船はディープVが多い。ディープVは、あまり深いと横安定が良くない。沿海を航行する高速船は荒天時の耐航性向上のため、ディープ・オメガが望ましい。

b. 船底ストライプは、速力にはあまり影響はないが、保針性と航走中の横安定に効果があり、かつ船底外板の剛性を増し、外板の溶接歪防止に役立つ。

c. トランソムのデッドライズが少ないと、高速における良好な旋回を妨げる。トランソムのデッドライズは、ハードチャイン型が0°〜3°、V型が4°〜5°、ディープV型の標準が22.5°である。

 

 

 

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