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特定設備は同一敷地内にあるのを原則とするが、少し位離れた所にあっても不便なく使用できる場合は差支えない。

 

6.2 現図場について

現図場とは現図作業を行う場所である。

現図は、船体線図を現図場の床面に現寸大に画くのだから、建造しようとする船と同じ大きさが必要だということになるが、実際には船体を前後に2分してこれを重ね、又平面図は片舷だけを画くようにして長さ、幅とも半分ずつですましているが、これに若干の余裕は見ておかなければならない。

反覆・継続の使用に耐えるよう永久建築とし、雨天にも作業できるよう屋根を備えることとする。

 

6.3 溶接用変圧器

溶接用変圧器とは、溶接器に用いられる電源設備のことであって、もし自家用の発電装置があればそれでもよい。

普通、造船所では電力会社から3300Vの交流が送られてくるので、これを220Vに減圧して使用しているが、このための受電変圧器を溶接用変圧機と考えることとする。

但し、溶接以外に大きな電力を消費するものと併用の場合は、その分だけ差引いて考えなければならない。

 

6.4 溶接定盤について

最近の鋼船はすべて溶接でできているが、この溶接は船台上で窮屈な思いをしながら作業するよりも、広い地上で楽な姿勢でやった方がはるかに能率があがりかつ良い溶接ができる。

更に、何もない地面の上でやるよりも「溶接定盤」の上でやった方が便利で仕事も正確にできるが、これは表面が水平で変形しにくく機械の拘束に便利であること、アース兼用となり水はけもよいことなどの利点があるからである。

特定設備の中に「溶接定盤」が採り入れられているのも、これに使うことにより能率よくしかもよい仕事をして貰いたいという趣旨にほかならない。

溶接定盤は、一般に形鋼材を格子状に組んだものや、レールや形鋼材を平らなコンクリート表面に植込んだものが用いられているが、移動式のものでも差支えない。

 

6.5 ドックについて

ドックには乾ドックと浮ドックとがある。ドックの大きさは、最大船舶を入れてもなお前後左右に若干の余裕がなければならない。浮ドックでは、長さは船の長さより短くてもよいが、船を持ち上げるだけの浮力がなければならない。

何れの場合も、船を支えられるだけの耐圧力を持ち、かつ十分な力量の排水ポンプを備えていなければならないのは勿論である。

 

 

 

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