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第4章 小型船造船業法

 

1. 主旨

この法律は昭和41年7月4日制定、公布され、昭和41年10年4日から施行されたものである総トン数500トン又は長さ50メートル以上の船舶の製造又は修繕を行う事業については、造船法によりその新設等について運輸大臣の許可を要するものとされていたが、総トン数20トン以上500トン未満等の小型船の製造又は修繕を行う小型船造船業については、同法の規定に基づく運輸大臣に対する届出のみで事業を営むことができることとなっていた。しかしながら小型船造船業者は、そのほとんど中小企業者であり、設備の著しく不備なものや、適格な技術者を欠くものが少なくなく、ことに、木船部門から鋼船部門に進出する小型船造船業者が漸増している折から、これら事業者は特に設備の不備と技術能力の不足が目立っていた。

このような事情から、かねてより、小型船造船業の健全な発達を図るため、設備の近代化と技術能力の向上が要請されていた。

一方、小型船については、その大部分が内航船及び漁船であり、内航輸送形態の変化、漁業における遠洋漁業の比重の増加を反映して、その運航形態に大きな変化を生じてきたにもかかわらず、その船質の改善がこれに伴わず、小型船の安全性に問題を生じている状況にあった。これは、小型船の海難により毎年尊い人命及び財産の損害が多数発生していることからも明らかである。

したがって、内航船、漁船等の船主の船舶に関する知識が十分でない事情を考え合わせて、直接小型船の製造又は修繕を行う小型船造船業者が積極的に船質の向上を図る必要が生じた。

このため、小型船造船業の健全な発達を図り、小型船の船質の向上に資するため、小型船造船業における造船技術の適正な水準を確保する必要が生じてきた。

この法律の概要は

第一に、小型船造船業を登録制とし、船台、ドック、クレーン等の設備が運輸省令で定める技術上の基準に適合していない場合は登録を拒否しようとするもの注)である。なお、この設備が技術上の基準に適合しなくなった場合においては、運輸大臣が、小型船造船業者に対し、その是正のために必要な措置をとるべきことを命ずることができることとなっている。

第二に、小型船の製造又は修繕の工事に関する技術上の管理を行わせるため、事業場ごとに、一定の学歴又は実務の経験を有する主任技術者を配置させようとするものである。

その他、登録の取消しに関する規定等必要な規定を設けている。

注) 総トン数20トン以上又は長さ15m以上の鋼船(総トン数500トン以上又は長さ50メートル以上のものを除く。)又は総トン数20トン以上又は長さ15メートル以上の木船の製造又は修繕を行う事業

 

 

 

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