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5.1.8 予備検査(法第6条第3項)

船舶の一般施設として施設を義務づけられている物件を備え付ける場合に、これを備えつける船舶が特定しない場合でも、事前に検査を受けることができる。(法第6条第3項)この検査を予備検査という。この予備検査制度は次の点を考慮して設けられたものである。

(1) 船舶に備え付ける物件は、各専門工場において、分業的に製造されているのが普通であり、造船所において、そのすべてを製造している例は皆無である。これら専門工場は、船舶所有者又は造船所の注文を持つことなく、自らの生産計画に基づいて、船舶検査の対象となる物件を一定の形式のもとに、多量生産方式によって製造している。したがって、製造者にすれば、その製造中に検査を受けることができ、船舶に備えつける以前に、技術上の基準に適合しているとの証明を得ることができれば、取引上非常に便利であり、一方、需要者である船舶所有者又は造船所にとっても、あらかじめ管海官庁又は小型船舶検査機構において、合格の証明を得たものを船舶に備え付けることができることになり、工程の合理化、検査期間の短縮等を図ることができる。

(2) 製造検査、定期検査等においては、物件を製造中から検査を行うものである。したがって、予備検査の制度がない場合には、専門工場で製造した物件を購入して、船舶に備え付けることが事実上不可能となり、産業の発展を阻害することばかりでなく、また、機関、電気、設備等特定の物件の工事は、船体の工事期間より長期間を要するものがあり、船舶の完成を遅らせることになる。

予備検査の対象となる物件(製造に係るもの。)は、次のとおりである。(施行規則第22条)

1] 小型船舶の船体

2] 船尾骨材

3] 舵(かじ)

4] だ頭材又はだ心材

 

 

 

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