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第3章 船舶安全法

 

1. 船舶安全法の沿革

我が国における船舶の検査制度は、明治13年11月内務省達による「小型旅客船取扱心得書」に基づき、各府県が総トン数10トン未満の小型汽船による旅客を運送する船舶について船体及び機関を整備させ、検査を行うことを内容とした「小型旅客船取締規則」を定めたことに端を発する。

政府による本格的な検査制度は、明治17年12月交付、翌7月1日施行の「西洋形船舶検査規則」(太政官布告)である。その後「船舶検査法(明治29年法律第67号)」、「満載喫水線法(大正10年法律第2号)」、「船舶無線電信施設法(大正14年法律第11号)」等の制定を経て、昭和8年3月これらの船舶の安全取締りに関する法規を統合統一した「船舶安全法」が制定交付され、翌3月1日から施行された。同法はその後昭和12年8月、22年12月、25年5月、28年7月、8月、37年5月、9月、38年3月、43年5月、48年9月、55年11月、59年5月、60年12月、62年5月、9月、平成3年5月、5年5月、9年6月、11年7月に改正され、現在に至っている。

一方、1912年4月の英国の旅客船タイタニック号の海難事故を契機として、船舶の構造、設備等について国際的な基準を定める気運が生じ、1914年に「海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS条約と称す。)」が締結され、その後1928年、1948年、1960年、1974年、1978年、1981年、1983年及び1988年に改訂され現在に至っている。また、「国際満載喫水線条約」が1930年に締結され、1966年改訂、新条約が制定された。これらの国際的条約は、船舶の構造、設備、満載喫水線の位置の要件等を規制し、さらに、締結政府において定期的な検査を実施し、一定様式の証書を交付することを義務づけたものである。我が国もこれらの条約に加盟するとともに数次にわたる船舶安全法の一部改正によって船舶安全法に取り入れている。

なお、昭和48年の船舶安全法の一部改正において、従来施設基準及び検査に関する規定の適用が除外されていた小型船舶について、簡易な構造の船舶、総トン数20トン未満の漁船のうち特定のものを除き、新たに法規を適用することになった。またこの改正によって、小型船舶(長さ12メートル未満のもの。)は、小型船舶検査機構が検査を行うこと及び認定事業場制度、型式承認制度の拡大等検査態勢の強化がはかられた。さらに、平成5年の船舶安全法の一部改正において、小型船舶の構造等の簡易化の状況に鑑み、小型船舶の定義が長さ12メートル未満の船舶から、総トン数20トン未満の船舶に変更された。

注:本章においては、説明文中とくにことわりなく、「法」と略してある場合は「船舶安全法(昭和8年法律第11号)」を、「施行規則」と略してある場合は「船舶安全法施行規則(昭和38年運輸省令第41号)」をいう。

 

 

 

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