日本財団 図書館


2. 船舶法の概要

日本船舶であるための要件は、船舶の所有権が、(ア)〜(エ)に掲げる自然人又は法人に在ることをもって足りるのであるが、株式会社の取締役に外国人が3分の1以上就任している場合には、その会社が所有する船舶は日本船舶とはなり得ないので、外国の国籍を取得するほかに方法がない。

不開港場とは、開港(外国通商が許されている港であり、関税法で定められている。)以外の港その他の場所をいう。

日本各港の間で貨物や旅客の運送をする特権は、日本船舶だけに与えられているが、このように沿岸貿易を、外国船に禁止している国は、我が国のほかにアメリカ、ブラジル、ギリシア、アルゼンチン等がある一方、外国船舶に対しても沿岸貿易を許している国は、スウェーデン、イタリー、イギリス等である。

登記とは、登記所(法務省所管)に備えられた登記簿に所定の事項を記載することをいい、船舶の場合、所有権、賃借権及び抵当権、船舶管理人の選任に関する事項等を記載している。船舶登記の目的は、権利変動を公示し、取引の安全を図ることにある。

船舶の登録とは、管海官庁が船舶原簿に、船舶に関する表示事項及び所有者を記載することで、その目的は、船舶の国籍を公証し、行政上の取締り及び管理に資することである。わが国では、このように登記及び登録の二元制度をとり、登録は、主として公法上の必要性により、管海官庁の所掌に属せしめ、登記は純私法的に船舶の私権の状態を公示することを目的としていることから、登記所の所掌に属せしめている。

船名の選択は自由であり、他に同一又は類似の名称の船舶があってもさしつかえないが、外国文字だけの船名は認められない。なお、日本船舶の名称には、その末尾に「丸」がついているものが多いが、最近では、一般私船においても「丸」のつかないものが相当数みられる。

船籍港は、船舶所有者が船舶の登記登録をなし、船舶国籍証書の交付を受ける地をいう。船籍港は、船舶所有者が定めるものであり、日本船舶として新たに登録される船舶についてはもちろん、登録されている船舶の所有者が変更された場合でも、新所有者が新たにこれを決定すべきものである。なお、船籍港となるべき地は日本国内であり、船舶の航行しうる水面に接した市町村に限られ、原則として、その船舶所有者の住所に定めることを要している。さらに、共有船舶の場合の船籍港は、原則として筆頭者(持分最大の者)の住所を船舶所有者の住所とみなして定めることになっている。

船の長さ(登録長さ)は、全長、垂線間長、測度長等とは全く異なるものであるから注意すること。

船舶国籍証書は、総トン数20トン以上の日本船舶に対して交付される。日本船舶たる資格は、その所有者が船舶法第1条に掲げる者であることをもって足りるが、船舶国籍証書の交付を受けなければ、日本船舶としての特権を完全には行使し得ない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION