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5.3 溶接作業

5.3.1 一般的注意事項

溶接という作業を管理することを考えるといろいろの問題に気を配らねばならないが、今、溶接の品質に焦点をおいて考えると、溶接を行う前に、“溶接前の準備”の点検、そして、溶接作業における“溶接条件”の確保があって、はじめて、優秀な技量が発揮されるのである。溶接において、“弘法は筆をえらばず”式の考え方は、成立しない。ある例において、経験年数1年から10数年の溶接工多数に、開先間隙(底部間隙)を種々変えた試験片を溶接させたところ、経験年数に関係なく、ある規定寸法に底部間隙がなったときに、溶接不能になったという結果が出ている。このことから考えても、溶接において、確保しなければならぬ条件を無視しては、良好な溶接を期待できないことがわかる。

 

(1) 溶接前の準備としての点検項目

○開先

開先は規定の角度ででき上っているか。

開先面の粗さは、標準の粗さででき上っているか。ノッチが多すぎないか。

突き合わせでは、面に目違いを生じていないか。

隅肉接手では、部材は取付線に対して正しく取り付けられているか。

○底部間隙(ギャップ)

開先と開先の間、隅肉接手では、部材と部材の間の寸法は、規定通りにできているか。もし、規定からはずれていれば、当金や、肉盛りの処置を施さねばならない。

○付着物

サビ、ホコリ、ゴミ、水が開先面及びその周辺についていないか。付着している場合はワイヤーブラシで磨いたり、バーナーで水気をとったりする。

○拘束は十分か

変形を防止するためのストロング・バックや、その他の拘束法が適切になされているか。

仮止めの状況は、溶接の進行中にはずれて、結果として、目違いになったりしないように、しっかりついているか。

○アース

アースの接触が不十分であると、電流が不安定になり、溶接の品質が確保し難く、感電事故の危険性もある。

○溶接棒

棒の種類は適切か。

 

 

 

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