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ソリッドワイヤーは脱酸元素が含有されている。すなわち酸素との親和力の強いSiやMnがワイヤーに含まれているので、このSiやMnがFeOに作用してFeO+Mn→Fe+MnO

2FeO+Si→2Fe+SiO2となり、FeOは脱酸(精練)されて健全な溶着鋼に還元される。作用したSiやMnなどの酸化物はスラグとなりビード表面に浮上する。したがって溶融鋼中のFeOはほとんどなくなり、結果的には3]式で示される。COガスはほとんど発生せず、きわめて健全な溶接部が得られる。

以上が炭酸ガスソリッドワイヤー方式の概要です。

溶着金属の移行方式は、三つの形がありこれによってビードの外観や形状、溶け込みが異なる。

 

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スプレー移行とは

アルゴンガス溶接で直流逆極性にして大電流を流すときにみられ、スパッターの少ないきれいなビード外観が得られる。このスプレー移行を小さい平均電流でも行えるようにしたパルスアーク方式が用いられるようになった。この方式はワイヤー端が適当に溶融したとき平均電流より、大きいパルス電流を流し、この電流によって発生するピンチ力の助けで溶融部を離脱させる方法である。これは発生周波数を適当に選ぶことによって、スプレー化が可能となり、溶接部に対する平均入熱を下げることができる。

粒状移行とは

粒状移行形は大電流の炭酸ガスアーク溶接にみられるもので、溶滴は大粒となって移行する。スプレー移行にくらべて、スパッターが多くなる。

短絡移行とは

溶接電流の特性を工夫することによって良好な薄板の溶接が行える。短絡したときは、溶接電流は急激に大きくなろうとする。しかし溶接電源には電流が急激に増加するのを押える働きをするインダクタンスがあるのですぐには大きくならず時間のたつに従って徐々に大きくなり、この電流の増加によって短絡接触部が、くびれてワイヤー先端の溶けた金属が母材に移り、アークが再発生する。この場合、短絡電流があまり大きすぎるとアークが発生するときに、大粒のスパッターが出るので、電源にインダクタンスを入れて電流の急増を押えている。

 

 

 

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