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3.2.3 精度について

罫書作業は、通常、現図が作成した定規や型によって行なう。従って、その型の通りに罫書するのであれば、大きな精度の狂いはでないものであるが、それでも、墨差や石筆の線の太さを考えれば、注意をしても、±1.5mm位の狂いはでるものである。普通の場合はそれでさしつかえないが、中には、特に精度を重視したい部材、即ち、基準となる部材を、建造要領の検討時に決めたとすると、その部材に対する罫書方法は、一考を要する。即ち、紙型をやめて、スティールの定規にする等のことである。一般的に考えて、罫書作業において、次の2点は常に注意しておかねばならない。

(1) 直角線

(2) 型の変形

直角線は、大きなものは、コンパス、小さなものは、直角定規を使うことが多いが、直角定規の中でもサシ金は、狂いの生じていることが多いから、ときどき確かめてみることである。確認の方法は、一直線上にサシ金を置き、その直線からの直角線のアタリを出し、今度はサシ金を裏返えして、再度アタリを出して2つのアタリに、差がなければ、直角は正しいということである。直角が狂っていると、BKT類の肌スキが多かったり、ブロックが変形して現場での取合が悪かったり、種々、不都合を生じる。

型の変形としては、板とか紙は、屋外にある場合、非常に大きな変形を生ずることが知られている。精度を要して、何度も使用されるような型には、型直線を入れて、曲りのチェックをしてから使用したり、或いは、1m等、定まった寸法の格点を記入しておき、使用前に、計測してみる等の手段をとるべきである。

 

3.3 ガス切断作業

切断には、シヤリングによるダイ切りや、管等の切断に使用するのこぎり等のものもあるが、船殻の主流を占めているガス切断について述べる。

 

3.3.1 使用ガス

切断に使用されるガスとしては、アセチレン、プロパン等の他、石炭ガスや、天然ガスも使用可能であるが、普通は、もっとも、扱い易いアセチレンが多く使用される。プロパンも近時、大量に使用されはじめているが、アセチレンと比して、重いため、漏れた場合、たまりやすく危険である等のことに注意しなければならない。アセチレンは、他のガスに比べ、発熱量が高く、また使用酸素量も少ない。第3.1表に、各ガスが、同じだけの熱量を発生するためにはどれだけの容積が必要かという表を示す。

 

 

 

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