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(2) 電流の値

電流の値と人体の感覚との関係は、電流の種類のみならず、その人の体質や健康状態によって異なる。普通の交流を人体に通じた場合の大体の標準を示せば次の通りである。

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即ち10ミリアンペアまでくらいならば生命にかかわることはないが、20ミリアンペア前後になれば筋肉が収縮してその支配力を失うから、電極から手を離せないことが多く通電時間が長くなって死亡することがある。従って、20ミリアンペア以上は一般にきわめて危険だといわれている。

(3) 通電時間

通電時間の長い程危険なことはいうまでもない、ねずみについて致命電撃の通電時間と最少電流との関係を求めた結果では大体において反比例している。現に人体においても、きわめて短時間の場合には相当大きい電流が通っても助かった場合がある。高圧に感電した場合に助かることのあるのも被害者が筋肉の収縮によりはね飛ばされて通電時間が短いのがその一因ではないかと考えられる。

 

次に、人体の抵抗について述べる。

 

(1) 人体を流れる電流

普通に起こる電撃は右下の図のように人体を通して接地短絡した場合が多い。一般に変圧器の低圧側の一線は、回路の保護のために必ず接地することになっている。従って、接地しない他の電線に人体が触れた場合、Iは電源電圧Eと回路抵抗Rによって定まる。回路抵抗Rは次の三つの抵抗よりなる。

R1…電線と手との接触抵抗

R2…人体の内部抵抗

R3…足と大地との接触抵抗

 

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