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発生源は、工場、事業場、深夜営業、建設作業、自動車、航空機などである。

(b) 振動

振動は騒音とともに感覚公害に属しており、工場、事業場、建設作業、交通機関が主な発生源である。苦情件数では、工場、事業場が最も多く苦情全体の40%を占めている。建設作業物がこれに次いでいる。

(c) 悪臭

生活環境を損なう感覚公害であり、苦情件数では、騒音に次いで多い。

(d) 土壕汚染

大気、水等を媒介として排煙や排水中に含まれる重金属等の有害物質が土壕に蓄積し、それにより農作物等に悪影響を与える。蓄積性汚染の典型である。カドミウム、銅、砒素が特定有害物質に指定されている。

(e) 地盤沈下

地下水の過剰な採取を原因として生じるもので、地域によって沈下の程度及び被害の状況が大きく異なるという極めて地域的特性の強い公害となっている。

(f) 廃棄物

し尿や家庭のゴミ等を主とした日常生活に伴って生ずる一般廃棄物と企業等が事業活動によって生じる燃えがら、廃油、廃液、廃プラスチック類等の産業廃棄物に分類される。

(酸、アルカリ等)

 

1.7.5 造船業の公害発生と見られるもの

(1) 大気汚染

有害ガス、悪臭ガス、煤煙、粉塵など塗料の多くは有毒性であり、臭気により頭痛、めまい等の中毒症状を起こすことがある。

特に塗装工事のスプレー飛沫の飛散が最も多く、各造船所とも大なり小なり公害苦情の問題が生じ、その防止対策と塗装作業の改善に取り組んでいる。

実例としては、風下300メートルまで飛散した例がある。また、サンドプラスト、グラインダー、粉塵飛散は修繕船およびFRP船の新造船工事の塗装工事に特に多い。

実例としては、国道沿いの工場で粉塵飛散が生じ国道と工場境界に高さ4メートル幅100メートルの遮へいを取り付けた。悪臭、粉塵公害はFRP船建造の造船所にも発生している。

FRP船については、FRP船技術指導書(小船工)を参照されたい。悪臭を発生するものとしてはシンナー、塗料類、亜鉛ガス、アセチレンガスなどである。

煤煙については、小型造船所ではゴミ類の償却、などが発生源となるが、木屑などの少量の焼却には風向などを注意すれば余り問題は生じないと思われるが、造船所のゴミは多種多様のものがあり、また化学系の材料特にプラスチッククズなども含まれているから、危険物の指定〔労働安全衛生法〕の物質が含まれている場合は、「消防法」によって、指定数量以上の危険物の貯蔵所に貯蔵しなければならないから、法規を参照にして慎重に処理しなければならない。

 

 

 

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