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(1) 艤装工事の特徴

・艤装工事は総合工事で、材料、部品などの種類が多い。

・船全体を一つの製品として見た場合、全部品にわたり船価に応じた(グレード)仕事の標準化は困難である。

・船主と微細な点までの打合せを行うことが困難なため、工事着手後に変更、追加などが多い。

・工作上の許容誤差、仕上り、状態などを全面的に規定することは困難である。

従って、品質の自由度(購買も含む)は大きい。

・材料、部品、製品は、ほとんど外部購入される。また、加工外注、下請の依存度が大きいから、関連工業や下請工場の設備、技術水準により品質が左右される度合が大きい。

・船殻工事の工程上に作業上の密接な関連があるため、その仕上り精度や工程に大きく影響される。

艤装工事の品質保証は、建造中のもちろんのこと、竣工後一件のトラブルも発生しないことを保証することである。そのためには、作業単位、工程順序ごとに、チェックシートにてチェックし、後工程に対して品質を保証することである。

 

1.6.4 社内検査

品質管理は、工程管理とともに、契約から完成引渡しに至るまで、生産される製品が計画どおり、かつ所定の品質を保持するための管理である。そのためには、まず社内検査によって十分な品質管理を確認することである。

中小造船所においては、社内検査は等閑に付されている傾向が強い。検査は検査官がやるものという考えは全く“本末転倒”である。社内検査を十分に行い品質管理に自信を持って検査官および船主に認めてもらうことが大切である。

このためには、社内検査基準などの作製が必要となる。参考資料としては工作精度の基準(日本造船学会)標準社内検査基準(日本中型造船工業会)がある。これらを参考として、自社に適した社内検査基準を作製することが望ましい。社内検査で十分な品質管理が行われていればその実績によって、工事中の現場検査は大幅に自主検査に委ねられることにもなり、工程管理に役立つと同時に生産性の向上にもなる。

船舶検査で、欠点を指摘されて補修工事や再検査が必要となれば、工程の遅れが生ずるばかりでなく、無駄な出費ともなり、その損失は大きい。品質と生産性を向上させるためには、社内検査の役目は非常に大きいことを認識することが必要である。

 

 

 

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