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1.5 工程計画と管理

1.5.1 一般

工場管理(生産管理)の最も基本となるのはなんといっても工程管理である。工程とは、生産の進んでいく道に、一つの区切りをつけることである。ちょうど、竹に節があるように、また物指しに目盛があるように仕事の流れに節度をつけることである。ただ、だらだら仕事をしていったのでは大きな立派な仕事はできない。

経営者または管理者は、その仕事の注文を受けたとき、直ちにその仕様から、価格はもちろん納期を定めなければならない。特に、納期は材料の入手時期、作業員の数や配置を考えて「工程表」という一種の時刻表を作る。この工程表に合うように材料、人員、工具等を配置して、仕事が円滑に進むように指導し、また監督をしなければならない。実際には、工程が計画された通り進んでいるかどうかは、常に統制され、反省されて、もし不具合なところが生じた場合には、直ちに修正する。このように工事が予定納期に、予定通りの工数で完成するように見守っていくのが工程管理である。

工程管理の第一歩は、工程に関連するあらゆる要素を検討して資料を集め、これを工程表の中に織り込むこと、すなわち、工場運営の時刻表を作ることである。この時刻表は極力細かいに越したことはないが、その工場の規模や実状に応じて、その目盛の粗さをきめる。

工程管理の一面として、作業管理というものがあるがこれは個々の作業そのものの合理性の管理である。この管理は大量生産方式の工程の場には、特に大切な管理方法であって、各種作業の基本をとらえて、作業員の一挙一動に至るまで科学的な調査、分析をしていくという、きめこまかい配慮が必要である。

 

1.5.2 総合工程計画

造船工場の管理の中心となるのは工程管理であるが、それにはまず工事の進捗をあらわす総合的な計画表を立案する必要がある。この計画は、直接工事の実施を総括する部門の工務係で立案する。

(1) 見積段階の手続

新造船の見積をする場合、一般に、設計係は見積設計と見積資材表を作る。これにより工務係は工数と日程の見積を作らなければならない。見積は一般的に急を要する場合が多いが、この提出した見積は受注後の実行予算および納期のもととなるので、見積係は常に短時間で確実な見積ができるよう、従来の実績を解析整理した資料を用意することが必要である。また常に市場の経済の動行に注意して、購入物品の購入予定価格等にも調査しておく必要がある。(第1.18図参照)

 

 

 

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