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よく営業と設計とが、また設計と現場とが対立するといったようなことが起こるのは、お互いに自らの本分をよく認識せず相手の責務について理解しないためである。

(3) 管理と人間関係

組織の中で、一番問題になるのは管理部門が独立している場合である。この管理の仕事というのは実施部門に対してサービスするのが理想であって、管理職がなにか監督者であるといった印象を働く人に与えることがあれば、管理としては失敗である。

小造船所の組織のように、人間の能力にその機能の主要な部分を依存している場合には管理者は人間関係のあり方に特に注意しなければならない。それには、ときどき各人の作業意欲の調査、いわゆるモラール・サベイ(人物調査)を実施し、色々な問題点をよくつかむ必要がある。また日本的な情味のある労務管理のやりかたが必要になる。このモラール・サベイの方法はアンケート式の質問用紙を作っておいて、これに記入させる方法と面接によって質問して行く方法がある。要は、上部と下部との連絡の不足・意思の不通をなくすることである。組織は大きくなると、幹部の考えていることが下部組織に通じない情報の伝達のループ(第1.16図)の不完全がある。そこには伝達の不良むしろ断絶すら生じている。これは下部で実際に働いているものの考えていることが課長・部長・社長へとは通じていないことを示している。

 

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第1.16図 情報伝達のループ

 

こうした伝達の不足をおぎなう意味で、提案制が行われている。提案制には、その裏腹の関係として、この提案の労にむくいる報賞制がとられている。こうした組織の欠陥を補うための色々な対策がとられなければならないところに段々大きくなる組織のもつ欠陥というものが存在している。工場長の計画は工事命令となって指令され、現場で実施される。工事の完了は必ず報告されなければならない。とかく命令が末端につたわらず、また実状が上司に報告されない。このループは途中で切れてはいけない。

 

練習問題

(1) 自工場の災害の度数率、強度率を計算しなさい。

(2) 情報伝達のループについて述べよ。

(3) 災害防止要因について述べよ。

(4) 管理の粗さについて考えてみよう。

 

 

 

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