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配置の上からは、建造、修繕用と分ける方が組立工場、クレーン配置など関連性からも良い。

船台は、コンクリートの基礎固めの上に軌条を設置するのが一般的で耐圧力を保守するにもよい。造船所のなかには現在でもバラス基礎の上に木製の枕木に軌条を設置しているところも見受けるが耐圧力の不均一、地盤の自然沈下などによる軌条の変形が生じている。このような場合、上架する船体に悪影響を及ぼすばかりでなく、巻揚ウインチにかかる力も不均一となり巻揚時間のロスが生じ、また使用電力量にも影響する。

船主側から見れば、船体保守の面から上架修繕は好ましくないので整備の悪い船台では客先も遠のくことになりかねない。上架装置の方式には

ア) トロッコ式(台車式)

イ) 複数台車式

ウ) ソロバン式

小型船は一般に2線または4線式の台車方式がとられるが、船体荷重を平均に受けない型式のものが多いので、大型船には向かない。大型で均一な加重を要する船にはソロバン式がよい。

台車進水は、進水重量が大きい場合、自重で放置滑走させることは危険が多いので、ウインチでコントロールしながら徐々に進水させるのが望ましい。また台車は荷重支点が少なく、さらに台車と船台との間の緩衝材も少なくなりがちであるから車輪、車軸関係の強度に余裕を高くとり、使用前後の点検をわすれずに行うことが必要となる。

船台を計画するときは、造、修船の上架時の最大重量を支持できる耐圧力をまたねばならない。小型船造船業者の特定設備にも、造船台または引揚船台の耐圧力についての基準を設けている。

地盤の耐圧力を調べるには、土木関係の工務所または土建業者に地質調査を依頼するとよい。地質調査は船台にかぎらず船渠、重量建造物などの建設予定地にボーリング調査を行い、必要な深度までの地層の地耐力を測定し、建造物に対して必要な基礎工事などの資料を提供してくれる。この調査は船台建設の場合は陸上部と水中部および進水時に大きな力が集中してかかる“ピポテングポイント”(陸と水中の境界付近)の3個所の調査がぜひ必要である。水中部調査の必要なのは、港湾、加工付近などヘドロ・蓄積を調べるためである。陸上部と水中部の地質が極端に異なる場合があるからである。

(2) 船架(乾ドック)

乾ドックには、修繕用ドックと建造用ドックの2種類があるが、中小型造船所では専ら修繕用である。乾ドックは一般に海岸線に地面を縦に掘削して、コンクリート構造で製造し入口に扉を取り付けた構造が普通である。

 

 

 

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